愛の劇薬
「お、おいっ!どっか痛いのか!?力加減間違ったか!?」
下ろすにしても痛い思いをさせるかもしれず、どうすることもできずに竜ヶ峰の顔を覗き込む。竜ヶ峰は青ざめたままで、唇を噛んでいた。そんなに強く噛んだら、その柔らかそうな唇は切れてしまうに違いない。ぼろぼろ零れる涙と頬の血が混ざって、ひどいことになっている。
そんな状態なのに、竜ヶ峰は叫んだ。甲高い悲鳴のような、泣き叫ぶ子供のような、ひどく悲痛な声をあげて。
「優しく、しないでくださいっ…!全部僕が悪いんです!臨也さんは、何も、悪いことなんてしてないんですっ!僕が、僕が全部っ…!!」
そうしてしばらく泣き叫んで暴れたところで、竜ヶ峰はぱたりと動かなくなった。一瞬死んだのかと思ったが、失血多量か痛みによって気絶したのだろう。浅いが、まだ呼吸はしっかりとしている。心臓もきちんと脈打っている。それを確認できたところで、ようやく冷や汗が引いた。
「何しやがった、あの野郎…」
とにかく、新羅のところに一刻も早く連れていかなければ。