さみしいぬ
そう言い残し、ドイツは出掛けていった。家には、休みを利用してやって来たイタリアと、庭でじゃれ合うドイツの飼い犬たちしかいない。
「ちぇー、また仕事仕事って…俺と仕事と、どっちが大切なのかなぁ」
普段会えない分、今日はたくさん遊んでもらおうと思っていたのに。
陸続きではあるものの国境は接していないため、互いの家を行き来するのはなかなか時間も手間もかかる。昔はよく、銃を構えた永世中立国に追いかけ回されたものだ。
「家が遠いのは、どうしようもないんだよな…あ、そうだ!」
ふと、イタリアの頭にある考えが浮かぶ。
「ドイツのわんちゃんたちって、いつもドイツと一緒に居られるよねー、ということはさ、俺もドイツに飼ってもらえばいいんだ!」
その夜。帰宅したドイツは、とんでもないものを目にする。なんと、昼間に遊びに来ていた友人が、犬耳と尻尾のみを身につけ自分の愛犬たちと庭を駆け回っているではないか。
「あ、ドイツおかえりー!わんわん」
次の瞬間、ドイツの怒号が雷のように轟いたのは言うまでもない。おしまい