シエスタ日和
ここは俺の家で、俺はソファーに座っていて、隣には真剣な顔したロマーノその手には作りかけの造花。あ、俺も持ってるで。
何でこんなに静かになっているかは、こういうことがあったから。
『ロマーノォォ〜!内職おわらへんよー!』
『はぁ!?お前、隈だらけのキモい顔で近づいてくんな!』
『ロマー!』
『うるっせ!手伝ってやるから、黙れっ』
そんな訳で、普段はロクに仕事せぇへんロマーノが、偉い真剣な顔して造花作りを手伝ってくれとる。
ロマーノの真剣な顔見んの、もしかしたらはじめてかもしれへんなぁ。かわええなぁ。
作業しながらもロマーノ眺めてたら(変態やないんよ!)、ロマーノ、段々うつらうつらしてきて「眠いん?」って訊いたら、眠そうな声で「ちげーよコノヤロー」って言われた。眠いんやん。
ロマーノを見て、にっこり笑って頭撫でてみれば、真っ赤になって怒る。本当、素直やないなぁ。
あ。欠伸した。
「寝てええよ」
「う、うるせえよ」
別に、寝たって何もせぇへんよ?でも寝ないから、俺が席外したら寝やすいんかなぁ。「ちょっとトイレ行ってくるわー」そう言って立ち上がる。
戻ってくると、ロマーノは思ったとおり眠っていて、ちょっとだけ笑った。ソファーの背もたれに寄りかかってこてん、と眠る姿は天使みたいで、キスしたいなぁなんて思った。
どんな夢見てんのやろ。トマト?パスタ?俺出てきてたら嬉しいわぁ。寝室からシーツを持ってきてそぉっとロマーノにかけてやる。
これで寒くないやろ?いっぱい良い夢見い。俺はまた、内職に戻るから。
「にしても、ホンマにかわええなぁ」
ソファーには座らずに、その直ぐ下の床に座ってバラの造花を作る。規則正しい寝息がBGMになって、何だか速く進んでいるような気がした。
テーブルの上の造花の山から、デイジーのを手にとってロマーノの左耳にかけてみる。あ、可愛い。写真撮りたいなぁ。
他の奴に「何で付き合ってられるんだ」て訊かれることがあるんよ。そんなん、可愛いからに決まっとるやろ!
小さいときから口が悪くて、すぐ頭突きしてくるけど、一生懸命で負けず嫌いで、俺のこといつも嫌いうざい言うてくるけど、俺に何かあったら頑張って助けようとしてくれて、なんだかんだ言って、俺のこと、想ってくれとるんやって。
そういうの、全部全部含めてかわええ、愛しい思うんよ。親分、子分のこと大好きなんやで!
これ、ロマーノに言ったらどんな反応するんやろ。怒るかな。照れてくれるんかな。どっちもかわええけど!
何か、ロマーノの寝顔見とったら眠くなってきた。
俺もちょっと寝ちゃおうかな。
ソファーの空いてるところに頭乗っけてゆっくり目を閉じた。ロマーノと同じ夢見たいわ〜。
「ロマー、大好きやでー」
* * * * * *
目を開けると、近くにスペインの顔があった。吃驚して起き上がるとパタ、と白いシーツがスペインの顔に被さった。変なの。
でも笑わない。だって、起こしちまうから。
「……?」
耳に何か掛かっていて、取って見るとデイジーの造花だった。デイジーは俺ん家の国花。は、恥ずかしいことしてんじゃねーよ。コノヤロー。
ちょっとだけ、嬉しかったのは、内緒。
もう少し、寝よう。