ツンデレデートは烏龍味
今、カナダ…マシューと一緒に
アーサーと耀のツンデレデートを観察してるのだ☆」
「フランシスさん…誰に向かってしゃべってるんですか?」
「気にしちゃダメ❤」
「ってかアーサーさん、来ませんね」
「どーせ、花でも買ってるんじゃないか? 自称紳士だし」
噴水の前でキョロキョロと辺りを見渡す耀。
足が不機嫌そうに動いているので、かなりご立腹らしい。
「…アーサー、確実に殴られるぞ…」
何故、この二人がデートすることになったか…
それは一週間前の連合飲み会にさかのぼる。
「我、先帰るある」
「えー? まだ、一杯しか飲んでないよ? 耀くん」
「今日はちょっと用事があるある。再見」
軍服なのに長いその袖を翻し、店から出ていく彼を見送りながらアーサーはぼそりと呟いた。
「菊にでも会いに行くんじゃね?」
「何言ってるんだい? 中国と日本は今、s…」
「日本じゃねぇ、菊だよ」
アーサーの話によると耀と菊は昼間、敵として戦っていても、
夜は人間として、お互いの家を行き来しているというのだ。
「そのギャップが…どうも、耀には耐えられないらしい」
昼間、自分の家の者を殺す「ニホン」。
夜、昔と変わらず語り合う「キク」。
「…アイツ、相当無理してるから、協力したいんだが…」
「アーサーが他人の心配するなんて珍しいんだぞ…」
「なっ/// バカ! んなわけねーだろ! オレはその…同じ、連合のメンバーとしてな…!」
「そんなに心配なら、アーサーくんが相談に乗ってあげたらいいんじゃないかな?」
イヴァンが若干、怖い笑顔を浮かべながら言った。
「あ、お兄さん、それ賛成!」
「オレはヒーローだから、人を助けるのが使命なんだけど
アーサーがどうしてもって言うなら、譲ってやってもいいんだぞ☆」
「んじゃ、耀の予定調べなきゃ!」
「僕知ってるよ~! 来週の日曜日は空いてるって言ってた!」
「その日に決定だな! よし、場所は、××カフェがいいと思うんだぞ!」
「アルフレッドにしてはセンスいいな!」
「お前ら! 勝手に決めてんじゃねーよ!!」
…というわけなの。わかりる?
「あ、来ましたよ」
耀がいつものチャイナ服に対し、アーサーは何故かビシッとスーツでキメていた。
「おっせーあへん! 誘ったのはオメーじゃねーあるか!」
「お前の為に花買って来てやったんだ! 感謝しろ!」
「あへんがくれる花なんて、いらねーある!!」
いきなり険悪ムードだ。
傍から見てると微笑ましくもあるが、これはデートせずに終わりという展開もありえる。
「どっちかが大人にならないと、無理かもな…」
「もー我、怒ったある! 帰るある!」
「あっ…」
アーサーが少し焦ったような、悲しそうな表情を浮かべ
耀の腕を掴んだ。
「…」
「…離せ」
「…耀」
「…何あるか」
「今日だけは、その、オレの勝手な誘いに付き合ってくれ!」
「折れた」
「折れましたね」
「…わかったある」
歩み寄れないツンデレ同士。
烏龍茶みたいな中途半端な気持ち止まりの二人だけど
いつか、きっと…紅茶味ぐらいになれるって思ってる。
作品名:ツンデレデートは烏龍味 作家名:狼華