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星に願う side タクト

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憧れとも違っていたと思う。
どちらかといえば尊敬に近かった。


勉強もできて
邸宅に住み
召使が居て
武道も天下一品。

可愛い許嫁も居て。

タクトは、
スガタのことを友人と呼びながらも、
自分とは違う、と
どこかで一線を引いていたのかもしれない。
その距離感が
もどかしく感じてしまったのは

スガタに何気なく放った、
「スガタってカッコイイよ!」
という言葉に対する、答えがあったから。

いつもクールな表情。
そこには一握の優しさを何時も宿していることを
タクトは知っていたけれど。

そのときばかりは、
とても
冷たい表情だったんだ。
「自分を殺して生きることの、
何が『カッコイイ』なんだ?」

という、スガタの一言が

タクトの胸の中の何かに訴えかけた。

あぁ。
スガタも自分と同じ高校生なんだ。

そんな当たり前で
簡単すぎることを今更ながらに思い知らされて。

―――もっと、スガタのこと知りたい・・・

そう、思うようになっていた。

けれども
それが友人に対する気持ちではない、
と気づいたのは
いつからだったのか。

幼なじみではない、自分。
ワコとスガタしか知らない幼少の過去。
けして埋まらない隔たり。

ただの、嫉妬だ。

これは
ただの、嫉妬―――。


求めてはいけない想いなら
いっそ閉じ込めてしまえばいい。
サイバディを全部倒したら、
それは僕が
この島を、出るとき。
それはきっと
二人が自由になれる日でもあって。
その時が来たら
心から祝福してあげよう。


それまで
何食わぬ顔で
二人のそばにいることを

神様
どうか許してください。


今日もまた、
星がひとつ海に落ちる。
防波堤に座って見上げた星空は
いつもと変わらず輝いていて。
このまま何も変わらないでいられるような、
そんな気持ちにさせてくれた。

気持ちがまた粟立ったら
ここに来よう。
そしてまた、この変わらない星空をみて普遍を思い、
そして時折落ちる星に願う。

どうか。
自分を押し殺して
ひたすらにワコを思い、
世界を守り抜く使命の彼が

幸せになりますように。


「よっ、と!」

寮に帰ろうと防波堤から飛び降りると
不意に、人の気配。

はっとして様子を窺うと
鎮めたはずの、心の小波を呼び起こす張本人。

青みがかった髪が、風にたなびいて
驚いたような表情でこちらを見ているのが
暗がりでもわかった。

何気ない会話をして、
門限だからと足早に立ち去る僕は
今日も
"フツウ"に"友人"の顔でいられただろうか。