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BLEACH NL中心詰め合わせ。

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Letter. / 雨竜誕・2003.11.6


 冷たい風の吹く中、手編みのマフラーで口まで覆って、雨竜が学校から帰ってきた。
 いつものように、アパートの階段の壁に据え付けられたポストを覗くと、珍しくDM以外の手紙が一通入っていた。
 白い封筒の真ん中に『石田雨竜さま』と筆字で書いてある。書道のお手本のようなそれを不思議そうな顔で眺め、部屋に戻ると封を切った。
 中からは、『15歳の誕生日おめでとう』と書かれた便箋と赤い印の付いた地図が入っていた。差出人は、ここへ来いと言っているらしい。
 雨竜は手紙をコートのポケットに捩込むと、地図の印の場所へ走り出した。
 指定の場所らしい所には、時代不詳な古臭い店があった。女の子が一人で表を掃いているが、今時見ない竹箒を使っているあたりも古臭い。
 地図にある店の名前は…看板と同じ『浦原商店』。雨竜はもう一度地図を見て、店の屋根にのさばる看板を見た。…間違いないが…それにしても胡散臭い店だ。
 雨竜が掃除をしている女の子に渋々声をかけると、女の子は踵を返して中へ入っていった。
 やがて女の子の代わりに出てきたのは、帽子を目深に被り、よれよれの羽織りを着た男だった。
「アンタが、石田雨竜サン?」
「はい。この手紙は貴方が出したものですか?」
「違います。アタシは石田サンの先生に昔頼まれていた物を用意しただけ。ま、さぶいトコで話すのもなんだから、上がって」
 ひらひらと手招きし、男は店の中へ戻っていく。師匠と聞いては黙っていられない。胡散臭いが、師匠の頼んだものを見ないことには収まらないので、雨竜は後に付いていった。
「ちょっとね、散らかってますけど。その辺に座ってて下さいな。ウ一ルル一、お客さんにお茶出して~」
 ウルルと呼ばれた先程の女の子が出した不思議な匂いのするお茶に手を出しかけた時、男は行った時と同じようにドタバタと戻ってきた。
「はいこれ」
 男は小さな箱と手紙を雨竜に渡し、ちゃぶ台の脇へ座って肘を付いた。
 雨竜は手紙を先に開いた。

『我が弟子 雨竜へ』

 その書き出しに、雨竜は身を堅くした。間違いない、懐かしい師匠の字だ。
『15歳の誕生日、おめでとう。だがこれを読んでいるということは、私はお前の傍にはいないということだ。雨竜。祝ってあげられなくて、すまないね』

「師匠……」

『せめての祝いに、この手紙を託した浦原君に頼んでおいたものがあります。ただしそれを受け取るか、受け取らないかはお前の自由だよ。お前にとって、一番良い道を選びなさい』

「開けてみてもいいんですか?」
「ハイ」
 浦原が鷹揚に頷くのを見て、雨竜は箱を開けた。 中には、滅却師の使うブレスレットが白い光を放っていた。
「受け取るか、受け取らないかは自由だ、と…」
「もし受け取るというなら、引き継ぎの儀式を行います。ただしその後は、一生虚との戦いが待っています。普通の生活を望むんなら、そのままアタシが封印します。…どうしますか?」
 浦原は、けっして笑みを浮かべない目を、無表情でブレスレットを見つめている雨竜に向けた。
 雨竜は迷わなかった。師匠を見殺しにした死神に、一矢報いる為に。数年前、目の前で起きた惨劇を、繰り返さない為に。「頂戴します」
 虚によって悲しむ人達を、これ以上作らない為に。師匠の跡を、継ぐ。真直ぐに浦原を見、雨竜は淀みなく言った。
 浦原は帽子を被り直すと、羽織の裾を払って立ち上がった。
「ではこちらへ。テッサーイ、準備できてる一?」

誕生日おめでとう、かわいい雨竜。
どうか、幸せになっておくれ

          ■END■
作品名:BLEACH NL中心詰め合わせ。 作家名:gen