そう、気が付かないでいてあげる
銀ちゃんは今日もご飯を食べた後出かけて行った。
そういう時必ず長谷川さんと飲んでくるとかいって彼は出かけていく。
でもそれが半分が本当で半分が嘘なのをわたしは知っている。
今日はその嘘の方だと、直感的に思った。
彼が、嘘をつくときはいつも心を空っぽにしている。
そんな瞳をしているから。
彼が嘘をつく日、
それは彼が人を殺す日だ。
銀ちゃんはいつもわたしや新八に知られないように
そういう仕事をしてくる。
いつものだらしない、ふぬけた顔で帰ってくる。
その時決まって彼からはひどく酒のにおいがするのだ。
でも、なんとなく
少しだけどいつもより違う雰囲気をまとって帰ってくるのだ。
悲しいような
切ないような
やるせないような
行き場のない
まとまらないもの。
それを必死で酒でごまかしてわたし達の元へ帰ってくるのだ。
わたしも心をごまかしておかえりと言う。
そして酒臭い、などとつぶやいて銀ちゃんをどつくのだ。
なにもわからいふりをしていようと思う。
このぬるい関係が壊れてしまわないうちは、
銀ちゃんと新八とわたしがいるうちは。
作品名:そう、気が付かないでいてあげる 作家名:M@ty