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すずき さや
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novelistID. 2901
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「恋愛距離感」【おためし版その2「無頓着な距離」(セラサク)

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「恋愛距離感」【おためし版その2「無頓着な距離」(セラサク):1,201文字】2010年12月29日発行



 過去の話だが年下と付き合ったことがある。
 小柄でどこか小動物のような愛嬌のある可愛らしい顔立ちの娘だった。会うたびに自分に向けて好きと言っては朗らかな笑顔を見せた。愛くるしいところが目立つ。そういう娘だった。
 付き合う以前は年下にあまり興味がなかったが、こうやって付き合ってみると年下も案外と悪くはないと思ったのは最初の内だけだった。
 年下の幼い子供のような相手は、くだらないわがままを言い、つまらない嫉妬を繰り返した。挙句の果てに「サッカーと私のどちらが大事なの」と、答えの出ない質問をして泣いた。
 その時、どうやって答えたか思い出せない。そのようなことを言う女が本当にいるのだと知って軽くめまいを覚えたのは記憶している。同時に面倒な相手と付き合ってしまった、と後悔した。
 その後、しおらしく謝ってきたため付き合い続けていたが、季節が変わりシーズンも佳境の入る頃に転機が訪れた。
 秋の天気が変わりやすいように年下の恋人の心変わりも早かった。仕事に集中していた時に「サッカーだけしていればいい」と言う捨て台詞と共に去って行った。
 俺はサッカー選手だからサッカーが仕事だ。サッカーだけをしていて何が悪い、と言い返したかったが言えずに別れた。
 何故か不思議と悔しいとは思わず、束縛から逃れられた開放感が勝っていた。
 一人になった時に「若い燕が去って行った」と、明治時代の女性が言った言葉をふと思い出した。自分の場合はヒラヒラした蝶々が飛んで行ったかな、とたわいのない感想を持った。
 そのことを丹波に言うと、それは若い恋人が年上の恋人へ宛てた言葉であること。その後、二人はきちんと結婚していると訂正された。妙なところに知識があって驚いてしまった。
「ひとつ賢くなっただろう」
 そう得意気に言われて少しだけムカついた。



 その後、恋人選びが少しだけ慎重になり大人の落ち着いたタイプを選び続けたがそれも続かない。恋愛や結婚に不向きなのではと思うこともあるが、相手には困ることがないので絶えることなく恋人と呼べる存在はいた。
 もちろん現在も恋人がいる。運命のいたずらか、避け続けていた年下が相手である。若い燕でもヒラヒラした蝶々でもなく、しいて言えば犬である。とびきり元気で人懐っこい犬を拾ってしまった。
 しかも驚くことに九歳も歳の離れた相手である。痛い目に遭った彼女との年齢差よりも更に上回る年齢の開きがある。
 実は、いまだに年下は好みではない。それ以前の問題として自分は男で相手も男である。
 好きだ、と言われて「はいそうですか」と付き合うには障害がありすぎた。
 堺は好意を持たれた初めの内は相手の勘違い。思い違い。そう言って相手にしなかった。だが、一途に想いをぶつけられ続けている内に絆され、惚れてしまった。
 惚れた腫れたを言うにはふさわしくない相手と分かっていたが、一度生まれてしまった感情を止めることはできずに恋愛関係を築き上げてしまい今に至る。

(To be continued…)