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王のイタズラ

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「不意打ちのキスもファーストキスに入るのかな?」
「は、はぃい?!」

放課後、誰もいない教室にて。

ニコニコ笑って隣に佇む、スガタ。
ギクリと恐る恐る、肩越しに振り返るタクト。

「え・・・・と?何の・・・・話?」

ひきつった笑いで、不自然に首を傾げると、
ふわりと紅い髪が揺れる。

「ミセスワタナベと・・・・」
「あーーーわわわわ!!」
シーっと指を立てて周りを窺うタクト。
おかしい。
あのとき誰も近くに居なかったはずだ。

「え、見て……ないでしょ??」
「なぜそう思う?僕の目はタクトを見るためにあるからね」

変わらないスガタの笑顔。
ちょっと青ざめるタクト。

「ていうのは嘘なんだけど。
見たって言う人から噂で聞いただけだよ」

一気に青ざめるタクト。
一歩踏み寄る、スガタ。

「え・・・と、誰に・・・・聞いたんでショ」
タクト、あはは、と笑うも、力ない。
「そりゃぁ。僕の耳は・・・タクトの噂を聞き逃さないためにあるからね」


ぐい、と存外な力で制服のネクタイを引っ張られる。
バランスを崩して、つんのめる、タクト。
慌ててスガタの肩に手をついて、自分の体を支えると、
見上げたすぐそこに、スガタの秀麗な顔がみえた。


「で、ファーストキスの相手はセクシーな人妻?」
「ちが!あれは!…人妻さんがふざけてただけで!!!
僕は不可抗力デスヨ!!?」

自分でも、何故こんなにも焦っているのかよくわからない。
が、
本能が、
自分に非がないことを証明しろ!と警鐘を鳴らしている。


スガタはというと
そのタクトの一言で、
す、と目が細まる。

「ふうん。やっぱりシたんだね」
「・・・・・・・・・・・・は、い?」
「なんとなく様子が変だからカマ掛けてみただけだよ」
「ひっ?!スガタ‥…誘導尋問?!?!口から出まかせ?!」
「まぁ…タクトの口から真実を吐かせるのは…簡単なことだよ?
いつも素直で、可愛いね、タクトは」

ついでに、と言うと。

「誘導尋問以外にも」

スガタはタクトが支えにしていた右手を掴みあげると
これまた素直にぐらりと倒れ込んでくる、
そのカラダを受け止めて
咬みつくようにキスをした。

「…僕の口は…タクトのこと食べるためにあるんだけど」

その一言で、
何事が起きたのかを悟る、タクト。

「――――〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!????」


ガタガタガタッ!!!!という派手な音をたて、
椅子への着地に失敗したタクトは、
声にならない悲鳴とともに
床の上に尻餅をつく格好になってしまった。

「ス、スガ、何、何で、なにして、どーして」
真っ赤な顔をして、右手の甲で口をふさぐ、タクト。


「で?」
「………で、でって、なにっ何でしょう?!」

「タクトのファーストキスって、僕ってことでいい?」

ーーーーーーーナニコレ!笑ってるのにスガタめっちゃ怖い!!

コクコクコクコクと、首のネジが壊れた人形のように
何度も頷くしかない、タクト。

「よかった。じゃあ帰ろうか」

タクトの手を引いて立ち上がらせると
何事も無かったように
はい、とカバンを渡してくるスガタ。

「あ、のさ、僕、何か……スガタ、怒らせること……した?」
「へぇ。自覚あるんだね」
「……………ナイカラ聞いたんですケド……………」
「あはは。そういう鈍感なとこもいいね、タクト」

さっきとは違って
若干満足げで、柔和な、満面の笑み。

いつにないスガタの表情でドキリとする、タクト。
そのタクトの反応を盗み見て、心の中で口角をあげて笑う、スガタ。

ーーーま、じっくり、行こうか。
それから、日常茶飯事、
王の手の上で弄ばれていることに
全く気付かないタクトを見て、
ワコの妄想僻がひどくなったとか、ならないとか。

そんな二人の、結末は…。



作品名:王のイタズラ 作家名:タチバナ