青い春
放課後、辺りが段々と暗くなる中帝人は校門前でひたすら立ち続けていた。
ランドセルを壁に預けて、ずっとずっと庇ってくれた臨也のことを考える。
きっと今頃教師達に怒られているのだろう。先に手を出した方が悪いと言われるのだろうが、本当に手を出したというのならあの男子の方だ。
それに臨也が手を出したのは帝人が泣き出しそうになったため。臨也本人は全く気にしていなかった。
(僕の所為で・・・臨也君が怒られてる・・・)
それがとても辛くて申し訳なくて、帝人は唇を噛み締めて堪える。
その時、先程よりも視界が暗くなった。顔を上げると、驚いた表情の臨也が立っている。
「帝人君・・・?」
「臨也君・・・」
「ずっと、待っててくれたの?」
帝人はこくりと頷いた。そして臨也の服の裾を掴む。まだ、臨也の顔を直視することが出来ない。
だから俯いたまま、帝人は口を開く。
「臨也君・・・あ、あのね・・・」
「ん?」
「ありがとう・・・」
ぎゅっと臨也の袖を掴んでいた手を、臨也の手がほどき逆に握られた。
臨也の手の温かさに帝人は顔を上げる。そこには恥ずかしそうに笑う臨也の顔があった。
「一緒に帰ろう帝人君」
「っ」
臨也の笑顔に一気に緊張が緩んで涙を零しそうになるが、それを何とか堪えて帝人も笑う。
「うん!臨也君」
そうして2人は手を繋いでしずみゆく夕日に向かって歩き出した。