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【米英】independence/drops

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drops


ふと仰げば、鈍色の空は今にも崩れ落ちそうだった。

雲は隙間を埋め尽くすように天を覆い、
ほんの気持ちばかり見えた明るい色も、
眺めているうちにグレーに塗りつぶされていった。
やがて冷たい雨粒が、見上げる顔に降り注ぎ始めるだろう。

こんな日は嫌でも、年中雨ばかりのあの国を思い出させる。

雨は苦手だ。陰鬱な記憶が頭を侵していくから。
あの日、濡れたまなざしはいつまでも俺を見ていた。
責めるでもなく、怒るでもなく、まして憎むなど到底出来ずに、
悲痛と落胆と果てなく広がる絶望を拭い去れば、
その目に浮かんでいたのはただひとつのまっすぐな感情だった。

けれど俺は拒絶した。
彼の中にも俺の中にもそれが存在するのを知っていたが、
敢えてそれを突っぱねた。
代償は大きく、ふたりには癒えることのない傷が残った。

なかったことには出来ない、そうするつもりもない。
出来るのはこの胸に手を当て、自分自身に誓うことだけ。
俺はもう、あのときのように君を泣かせたりしない。

雨は苦手だ。
だけど無性にいとしくなる。そして逢いたくてたまらなくなる。

彼の頭上は今、晴れているだろうか。