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チョコと本当の気持ち

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~二月十四日【バレンタインデー】~

金髪。長身。青いブレザーを着た青年

平和島静雄は帰宅のために自分の教室に急ぐ

すでに日は落ち始めオレンジに紫がかった夕日が覗いている

静「っち、だいぶ遅くなっちまったな・・」

   ガラガラガラ~

静雄が教室のドアを開けると少しだけいつもと違った光景が眼に映った

本来ならば静まり返っているはずの教室から「パキッ」という何かが折れた音がし

自分の机にはバレンタインのチョコ………そして

コノ場所にいるには不自然な人物「折原臨也」の姿

臨「あ、シズちゃんどうしたの?こんな遅くに」

そういいながら臨也は静雄の机の上で臨也あてのチョコを広げて食べている

静「っつ!?どうしたもなにも何でてめぇがここにいるんだよ」

いつもとは少し異常なその光景に静雄は動揺を隠し切れずにいた

臨「別に俺がどこで何してようが俺の勝手でしょ?」

静「明らかにそこは俺の机だてめぇの勝手じゃねぇ」

と自分の帰り支度をしながら静雄は臨也の言った事を流した

臨「ハハそれもそうだかもね、でさ怒んないの?俺さっきからシズちゃんの机であてつけにチョコ食べてるんだけど?」

臨也は薄く笑った静雄は表情を変えずに淡々と受け流す

静「俺は誰からか貰おうなんて思ってもないからな」

臨「へ~つまんないね。まぁそれはそれで惨めで面白い話だけどね」

コノ時点で静雄は気が付かなかった臨也宛てのチョコの中に

一つだけ、たった一つだけ「静雄宛のチョコ」が混じっていた事に

臨「ねぇ?シズちゃんはさ、チョコ…貰ってないんだよね?」

静「貰おうとも貰えるとも思ってねぇし貰ってない」

臨「まぁ、そうだよね静ちゃんにチョコあげるなんて物好きだけだし基本ないよね」

口は笑っているが瞳には少しだけ愁いを帯びているように見える

臨也は箱を手に取り包みを開いた、そしてそのチョコをジーっとみた

静雄の席を離れ静雄の背に近ずく

臨「…あのさ。俺……結構物好きだからシズちゃんに」

静「臨也…?」

静雄は振り返った瞬間口の中に甘い物を感じた

静「・・?チョコの味がする」

静雄はあまりにも突然の事で状況がつかめずにいる

臨「だってそれ俺からのバレンタインだし……」

さっきまで臨也の口には付いていなかったチョコが付いているし自分の唇には人肌ほどの暖かさが残っていた………

静「今のって……キ」

静雄の言葉をさえぎるように臨也が俯きながらも話す

臨「ホワイトデーのお返しは三倍って規則だけど…今のは……俺と…もう一人分の気持ちだからさ…六倍って事でかなり高くつくから」

頬が少し紅く染まる。臨也にしては自分の感情が表れている表情だった

臨「チョコより甘くてその上俺が望んでるものじゃないとお返しは勤まらないよ?
  …じゃ、俺もう帰るからシズちゃんバイバイ」

臨也は逃げるような足取りでその場を後にしようとする…がいきなり後ろから腕を引かれた

静「今お返し思いついたから俺が勝手にてめぇに返す事にした」

臨「シズちゃんさ~…いきなり抱きしめるとか不意打ちやり方が汚いよ?」

静「せこいとか不意打ちとかてめぇにいわれたくねぇな」

臨「それもそうかハハ今日はシズちゃんに言われるばかりだね?でもちゃんとお返ししてよ?チョコより甘くて俺の望んでるものであ~あともう一つ」

     『シズちゃんの気持ちで』

静「我侭だな本当に我侭ばっかりだ」

 ドサッ 何かを押し倒したような音が誰もいない教室に響いた

臨「別にこれ位いいでしょ?さぁ、シズちゃんは俺をどこまでいかせてくれるの?」

   



        END


作品名:チョコと本当の気持ち 作家名:臨夏