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ユキナ・リュカ ~この世界~

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「えーそんなの、全部に決まってるじゃないですかー。」
「ちょっ・・・まじめに答えて。だいたい君、最初は僕の事気に食わなさげだったように思ったんだけど。」

顔を赤くしながら言うリュカの様子をほほえましげに見ながら、そうですねー、とユキナは言った。

「好きになるのに理由なんて特にないと思うんですけどねー。あ、でも確かにね、俺は一目惚れするタイプじゃないですからね、いくらマクドールさんが綺麗で可愛くても、最初はどういう人なんだよ、とは思いましたよ?」

綺麗で可愛いと言われ、ちょっとムッとしながら、リュカはじゃあどうして?と聞いた。

「仲間って訳じゃあないけども手伝ってくれるってなった時に、俺、よろしくお願いしますっていいながら、手、差し出したでしょ?」
「ああ。」
「俺、あの時わざと手、出しました。」
「ああ、やっぱり。」
「はい。俺も半端ながら紋章を持つ身です。普通ならあまりこの右手には触れて欲しいとは思わない。ましてやマクドールさんは世間では呪われた死神の紋章とも言われるほどのものを持つ人。普通なら差し出した手を無視するか、もしくは不愉快そうな顔の一つでもしそうなものなのに、あなたは少し考えた後で純粋にニッコリ笑ってためらいもなく差し出した手を握ってくれた。」

ユキナはじっとリュカを見ながら言った。

「僕もね、一瞬、試されてるのかな、とは思った。でもそれ以上に君がそれこそこの呪われた手に、なんのためらいもなく自分の手を差し出してくれた事が嬉しかったんだ。」
「俺もですよ。嬉しかったです。なんだか心を許してくれた感じとかしたんです。その上その瞬間にストン、て落ちてましたね。」
「落ちて?」

リュカは首をかしげた。

「はい。恋に。」

ユキナはリュカを見つめたまま微笑んで言った。
その瞬間またリュカは赤くなる。

「ちょっと・・・ほんとに君は・・・よくそんな事を簡単に言えるね。」
「そりゃあ本心だしマクドールさんには嘘はつきたくないですしね。」

あはは、と笑ってユキナは言った。
それからまたまじめな顔をして続ける。

「マクドールさん。全部好きっていうのはほんとですよ?たとえ男であっても。呪われた身だとあなたが言ったとしても。そんなところも全部ひっくるめて俺はあなたが好きです。」

そして固まっているリュカの頬に軽く口づけをした。

「ちょっ」
「あはは、スキあり、です。」
「ユキくん!!」

さっと出た手の一突きを避けてユキナは離れた。

「じゃあ俺、ちょっと書類をシュウさんとこに持っていきます。マクドールさんは本、ゆっくり読んでて下さいね。大丈夫、それ以上変な事はしませんよ。だからいなくなったら嫌ですよー。」

あはは、とまた笑って、ユキナは書類を持って部屋から出て行った。
リュカは真っ赤になったまま、深いため息をついていた。