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ユキナ・リュカ ~この世界~

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嘘つき



「ユキくんのバカ!!」

そう言って英雄様は走っていってしまった。・・・ユキナの頬を赤くはらしながら。


「おいおい、どったのー?そのほっぺ。」

翌日ユキナがレストランで一人さびしくお茶を飲んでいると、シーナがにやにやとしながら聞いてきた。

「なんでニヤついてんだよ。」
「なんかリュカにしたんだろー。」
「・・・シーナが考えるような下世話な事はしてないからな。ちょっとした嘘ついただけなのになー。」
「なーんだ。って、嘘って?」
「え、ささやかな嘘だよ。実はトニーは30越えって言った。」

とたん、シーナがふき出した。

「ブッ。なんだよ、それ。」
「だってさー、トニーってばあんなで実はクラウスとか、そいやシーナ、お前とも一緒なぴちぴち19歳なんだよ?ナイわー。」
「だからってリュカだましてやるなよ。あいつ、嘘はなんでも嫌いだぜ?」
「ああ、それはこの頬で思い知ったから。」
「だろ?昔から嘘とかは嫌いみたいだったからなー。おっと、そろそろ待ち合わせの時間だ。じゃあな。」
「おー。」

シーナもお盛んなこって、と思いつつお茶を飲み干していると、そこにかの英雄様がやってきた。

「あっ。リュカさんっ。」
「・・・ほっぺた、大丈夫?」
「ああ、これくらい。リュカさん、昨日はごめんなさい。」
「いや、いい。ところで君に言っておきたい事があるんだ。・・・ちょっと、実家に帰っていい?」
「え?ああ、はい。どうしたんですか?」
「グレミオに会いたくなったから。前にグレミオの話が君の口から出た時は言えなかったんだけど・・・実は僕と彼は付き合ってる、ごめん。」

脳天クラッシュをくらった気分でした。

どうやら意識がとんでいたようで、我に返った時には英雄様はもういなくなっていた。

「リュッリュカさーーーーーーーーん!!!!」

ユキナはガタン、と椅子を倒したまま店を飛び出した。店ではハイヨーが冷静に、ユキナ様、ツケ、とメモしている。
城内をきょろきょろしながらホールに向かう。

「ちょっ、ルックッ!!リュカさん、こなかった?」
「ああ、家に帰るって言いつつ僕もビッキーにも何も頼まず出口から出ていったけど・・・?」

それだけを聞くと、ユキナはそのままものすごい勢いで走っていってしまった。

「・・・なんなんだ・・・?」

そのまま城を出ても走り続けていると、棍をかかえてテクテク平原を歩いているリュカを見つけた。

「リュッリュカさん!!!」

そのままリュカのもとまで走った。
リュカは声に気づいて振り向いた。

「ユキくん。」
「はあっ、はあっ。リュ、リュカさんっ、行っちゃ嫌だーっ。だめーっ、行かないでっ。」

そう言って恥も見聞もなくリュカの足元にしがみつく。

「・・・ごめん。」
「わーん、また謝られたぁーっ。いやだぁーっ。」
「あ、いや・・・。その、嘘なんだ。」

ギュウ、としがみついて涙まで流していたユキナは、ヘ!?と動きをとめた。

「その・・・グレミオと付き合ってるっていうの、嘘。・・・昨日君に嘘つかれたから、その仕返し。」
「え・・・ええええ。そ、そんなあ・・・俺、心臓とまるかと思ったのに。」
「僕はやられたら倍にして返すから。でもほんと、ごめんなさい。」

しがみついていた手を離し、ペタン、と座りこんでいるユキナの額に、リュカはそっと手をやって髪をなでた。

「あ、いえ。ほんと、嘘で良かったです。」
「うん。嬉しかった。」
「え?」
「ユキくんが、必死になって走ってきてくれて。」

そう言うと、リュカはニッコリと笑った。

「わ・・・。俺、その笑顔見られただけでもう十分ですっ。あーでもーっ。」

ユキナは座りこんでいた体制からリュカに抱きついた。
とたん、リュカはバランスを崩し、まるでユキナに押し倒されたようになった。

「ちょっ、こんな公道で何するんだーっ。」

リュカは棍でユキナをぶちのめす。
伸びてしまったユキナの首根っこをつかむようにして、リュカはずるずるとひきずって歩いた。

「まったく、もう・・・。でも・・・ほんとに嬉しかったな。嘘つかれた事どうでもよくなるくらい。」
「喜んでもらえてほんとに良かったです。」

ぼそりと声が聞こえた。

「ユキくん?もう目が覚めたんだ?」
「もうって・・・。永遠に眠らせる気ですか。まあ俺は頑丈ですからね。それにリュカさんに引きずられるのはどうも落ち着きません。」
「え?ああ、そうだろね。」

リュカは手を離した。
ユキナは立ち上がり、ポンポン、と服についた汚れを払う。

「倍返し、怖いですね。」
「ふふ、ごめんね。でもまさかそこまで信じちゃうとは。」
「だって俺、本気でリュカさん、大好きですからね。そんなん言われたらあせりますよー。それに俺、まだグレミオさんに会った事ないからよく分からないですし。」

大好き、と言われて顔を赤くしながら、ああ、そういえば、とリュカが言った。

「グレミオも君に会ってみたいって言ってたよ。」
「ほんとですか、じゃあ今からいきましょうか、ちょうどいいですし。」
「何言ってるの。君、また勝手に出てきたんでしょ?だめ。今日は戻るよ?」

そう言ってリュカは来た道を歩き出す。
ユキナは、リュカが戻る、と言ってくれた事が何気に嬉しかった。
まるで自分の家のように思っていてくれてそうで。

「じゃあ・・・せめて。」

そう言って、ユキナはリュカの手をつかみ、握ったまま歩き出した。

「手、つないでもいいですか?」
「もうつないでるじゃないか。」

そうはいいながらも、リュカもふりほどかずにつないだまま歩き続けた。