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注意*ゲームネタバレ?「世界を覆ってみようじゃないか!」

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裏返った針ネズミの中で雲雀さんと沢田さんが敵であるあなたに戦いを挑んでくるよっ










酸素はもともと、毒であった。原始の海に抱かれていた生物が、陸に上がるため最も苦難を極めたのが、この酸素の処理だったという。そこで諦めて海の中に居続けても良かっただろうに。チャレンジ精神というべきか。清濁併せ呑むといった心境であったのか。生物は酸素を身体に取り込んで生きる方法を遺伝子に書き込んだ。その結果が今。目につく生き物は皆酸素ジャンキーという現実だ。



なのに、これは、なんだ。


もし、360度の視界を持っていたならば、きっと今頃発狂したに違いない。空だ。高く高く澄んだ空が近く近くに。半球形の空間を覆うように拡がり、俺を中に捕らえている。幾つもの棘をこちらへとつき出しながら、俺だけを。


否、俺とあと2つ、合わせて3つの生き物を空と棘の囲いで、酸素から世界から隔離している!


この、現実は、なんだ。
酸素に犯された生き物には1日と耐えられないこの空間は。圧倒的に足りない酸素の代わりに殺気と炎が融け合うこの空間は。なんなのだ、一体。
俺の敵である生き物が作った、俺を倒すための空間。そして俺を倒すためにここまでやって来た2つの生き物。

なぜ、その生き物同士で戦うのだ。動けば動くほど酸素を消費するというのに、なぜ。


なぜ、俺を殺しに来ない。



「君なんか、相手にしてやらないよ」




俺の心の絶叫を聞き咎めたのか。この空間を作り上げた生き物がはじめて口をきいた。例え君が世界最強であろうと、戦ってなどやらない。そう笑う。

こちらを一度も見ずに笑う。

「君はつまらない。だから君と戦うのもつまらない」
髪を熱風にさらしながら恍惚を浮かべた男が見るのはただひとつ。青と紫に支配された中、唯一温かい色、オレンジの炎だ。


「僕はこの子といちゃつきたい。君は邪魔、ああやっぱり」

咬み殺そうかな。

それさえできれば酸素がなくとも細胞が最後のひとつまで生きていけると、確信している声で、言う。向けられる殺気に完全に呼吸が止まる。



「そんなことはさせない」


一声。厳かに温かい声が殺気を霧散させた。わずかな酸素が再び戻る。
紫の炎をまとう男の顔が険しく尖った。
オレンジの炎をまとった男が真っ直ぐに俺をみる。その事がこの上なく不快だとでも言うように!


「オレが守る。お前は今からオレの、家族だ」


先程の比ではない殺気と炎と空が混ざりあい視野を白く焼く。その中でオレンジを夢中で探した。俺にももう酸素などいらないのかもしれない。






酸素よりも色濃く、世界を覆ってみようじゃないか!