【米英】about my love
澄んだ眼差しが、いつもまっすぐ俺を見つめている。
張りがあり堂々としている、アメリカの声が好きだ。
喧嘩した時はつめたいけど、その後はより甘く響く。
節くれだって男を感じさせるアメリカの手が好きだ。
おおきくなったそれが、俺の手を強く握り離さない。
……それから、えーと。
「それでおしまいかい?」と彼は云った。
「君は俺の好きなところ、そんなもんなの?」
「んなこと云ったって、」と俺は答える。
「いきなり聞かれてもだな……ああ、そうだ」
無骨なようで意外と器用な、アメリカの指が好きだ。
長い指先が俺の手の甲をつと撫で、指に絡みついた。
気づけば逞しくなっていた、アメリカの腕が好きだ。
昔は抱いて癒されたのに、今は抱かれて気持ちいい。
「いきなりいやらしくなったね! 他には?」
「まだ云わす気かよ。目と声と手と指と腕と」
「君はもっと俺のこと好きだろう。違うかい」
……うるせえよ、ばか。
アメリカのくちびるが好きだ。アメリカのキスが好きだ。
やわらかく触れるそのやさしい愛撫がたまらなく好きだ。
「うん。それから? 他には、ねえイギリス」
「もう、きりがねえよ。まだ足りねえのか?」
「だってしょうがないだろう。二百年分だぞ」
二百年以上もの間、彼は俺の愛に飢えていたのだと云う。
だけどそんなのはお互い様で、語りつくせる愛じゃない。
「好きだ」
「うん」
「お前が好きだ」
「うん」
「お前の全部が好きだ」
どこが好きかなんて云えないくらい、
俺はお前が好きで好きで仕方がない。
作品名:【米英】about my love 作家名:逢坂@プロフにお知らせ