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突発5DX

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「あ、やっと笑った」
十代に指摘されて遊星はつい顔を赤くする。
「…俺の世界に二人を連れてきたら、きっと喜ぶだろうなと思って…」
「まぁ、あの伝説の遊戯さんだもんな」
「僕達って、未来じゃそんな風に呼ばれてるの…」
「今もだろう、相棒」もう一人の遊戯が突っ込んだ。
「あれは周りが勝手に言ってるだけだよ」
「十代さんもですよ」
「俺ぇ?まぁでも、遊星の時代のデュエリストともやってみたいけどな。なんだっけあの…わっかになって光ってひゅんひゅんってなるやつ」
「シンクロ召喚?」
「そうそれ。俺もやってみたいなぁ……」


こんな風に三人が談笑を楽しんでる一方で、パラドックスは途方にくれていた。
「Dホイールなしにどうやって帰ればいいというのだ…」
アクセルシンクロの原理を応用した空間移動でパラドックスはこの時代にきていたが、その要となるDホイールは無残に破壊されてしまっていた。まさか走って帰るわけにもいかない。歴史の看視しているイリアステルの誰かがこの事態に気付くまでこの世界にいるしかないのか…無理に決まっているだろう!とパラドックスが珍しく動揺していたその時、背後で竜の咆哮が聞こえた。パラドックスはぎょっとして振り返る。そこには赤き竜が待機していた。そして親指をくいっとたてる。乗っていきな、的なサインだろう。
「…く、ここで恩を売っておくつもりか…」
赤き竜はまた吼えた。人間の言葉になおせば嫌ならいいんだぜ、的なニュアンスだろう。多分。
パラドックスはさほど考えずに赤き竜の体に触れる。こうなりゃやけである。あのカードを使うとき、確かに死を覚悟していたものだがあのおせっかいな仲間達が細工をしたに違いない。ならば、意地でも帰る必要がある。帰って、余計な世話をしてくれたものだな!と怒鳴ってやらなければならない。そのために、そのためだけに生き恥をさらしているのだ。自分は。
「……ふん、借りはすぐに返してやろう。それがキミの望みなのだろう?」

後日、実験を終えて帰ってきたパラドックスからアポリアは一つ贈り物をもらった。といってもその姿は三つにわけた人格のひとつ、ルチアーノにだったが。
「どういう風の吹き回し?まぁ、もらっておくけどさ」
それはルチアーノの装飾品となり、またアポリアの装飾品にもなった。最後にそれは赤き翼となって、遊星のDホイールを飛ばすことになる。
作品名:突発5DX 作家名:えーじ