「あー痛い痛い痛いんだけど。え、嘘っぽい?じゃあ嘘でもいいよでも俺言い続けるからそこんとこヨロシクーぅーあー痛ぁー、はいはいそんな睨まない。もう、シズちゃん俺の事ウジ虫みたいに嫌ってるんならさ、どうして今までヒトを相手にする手段しかとらなかったのか聞いてもいい?もう聞いてるけど。俺きっと簡単に死ぬよー?殴るとか、刺すとか、そんなんじゃなくてさ、火炎放射とか毒ガスとか、え、お前みたいな蟲殺すのに他人を巻き込めるか?善良だねえうわあ心からの賛辞を送るよ、じゃああれだ、とても原始的な手段だけど落とし穴とか良くない?俺だけ嵌めるの。あーでもシズちゃんが新宿来て落とし穴なんて怖くて想像できない。もういっそ俺ん家に罠でも仕掛けちゃえばよかったんだよ俺絶対に捕まるもん。でもシズちゃんはそんなことしないよね。シズちゃんは自分の周りが住み良ければそれでいいんでしょ。俺が池袋に来るから相手するだけで来なかったらそれがシズちゃんにとっての一番だもんね?なに?分かってるなら来るな?それは無理だよホラ、シズちゃんは煙草と牛乳なしで生きられないでしょ?俺もそう。シズちゃんはどれくらい俺の事憎い?俺が瀕死の怪我してたら相手してくれない程度の憎さ?ナニソレ?そんな薄っぺらい憎しみしか俺は向けられてないの?俺は別にシズちゃんが人でなしだとは思ってないよ。でも平和島静雄にとっての折原臨也というものは、常識人であるシズちゃんを以ってしても倫理吹き飛ばしてトドメ刺したいって思わせる存在かと俺は期待していたんだけどなぁ。ちぇー。ねえシズちゃん、シズちゃんは俺が死ぬとこが見たいの?え、違う殺したい?なんだっていいよ、したいなら今しなきゃ、もうチャンス無くなっちゃうよ?真心あるスポーツマンシップなんて発揮してないでさ、ほらほらぁ、そろそろ目の前白いんだけど、俺に原稿用紙二枚分も喋らせてないで、三枚目に行く前にどうにか」
臭い路地裏という有りがちなシチュエーションの中で折原臨也は散々喋り倒したあと、擦り傷を増やしながら頬を舗装より持ち上げる。
「どうにかしてよ」