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アーケイズムの花

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What God will, no frost can kill.







「ギルベルトさん」

イヴァンの屋敷から逃げ出して、随分長く一緒に居るのに、
相変わらず彼の声は、瞳は、仕草は、俺の心を揺さぶり続けている。

獣道に座り込んで地図を確かめる俺を呼ぶ声に、
呼吸するように自然と引き寄せられてそちらを向けば
大きな瞳はあっさり振り向いた俺に少し気恥ずかしそうに目線をそらして瞼を伏せる、
それが照れ隠しだと気づくのに、そう時間はかからなかった


「ずっと地図を見てるから、」


呼んだだけです。
と、顔を赤くして、それを隠そうと下を向く菊の顎を捉えて引き寄せる、


「そりゃ、悪かった…な?」


そうワザと言えば、ますます色づいていく白い肌にクツクツと笑う、
地図に嫉妬していたのだと言う事をギルベルトの言葉でもって理解させられた菊が
恥ずかしくて泣きそうになりながら、
「意地悪しないでください、」

と、言ったので、
そんな如何にも食べてくださいというような顔をして、
俺に意地悪してるのはどこの誰だと、言い放ち、

ギルベルトの発言に、完全にのぼせて湯気が出そうになっている菊の唇が
これ以上可愛い言葉を紡ぐ前に、ぱくりと塞いだ




甘い匂いと共に、視界の端で白い花が揺れて、そっと目を閉じる。
彼が生み出す美しいものが禁忌を犯す己の罪を責めるなら、

花は彼だけでいい



(汚く美しい世界よ、止まってしまえ)



end






※What God will, no frost can kill.=諺
作品名:アーケイズムの花 作家名:りぃ