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守山 潤也
守山 潤也
novelistID. 24071
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第3話 君と僕と涙と別れ

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第3話 君と僕と涙と別れ


ずっと、続くと思っていた。
幸せな毎日が。
ワコのお腹がなってワタナベさんがガラス越しのキスをして委員長が注意してスガタが……

なのに。
なんで…

アレだけ僕を一人にしないって約束したのに。

こんなことなら最初から君となんか出会わなければよかった。

こんなに苦しい思いをしなくて済んだ。

(…スガタっ……)

ーーー

事はいきなり二人を襲った。

その日はシンドウスガタの誕生日だった。そしてツナシタクトの誕生日でもあった。
スガタはその日を一人で過ごすようになっていた。
「…スガタ君はっ…自分の誕生日が嫌いなんだ…」
ワコがそう言って泣いていた。
色々考えた。
二人でスガタに少しでも誕生日を好きになってほしくて…また、笑ってほしくて…
その時、紀羅星十字団ブーゲンビリアの一人に襲われた。
やがてその力は予想外の暴走をし、スガタにアプリボワゼさせた。
スガタはタクトとワコを守るために自分の命を捨てたのだった。

スガタは過去の記録通り、そっと目を閉じた。

ーーー
「今日はアゲマキさんとスガタ君…休みなのね、タクト君何か知ってる?」
「ゴメン、知らない…」
今はそう答えるのが精一杯だった。
本当はずっとスガタの傍について居たかった。
でも、スガタにはワコがいるから。
そう思って、一人学校に来た。
何もする気が起きなかった。
(…やっぱり、帰ろう…)
タクトは学校を早退した。
ーー
部屋に帰っても何もすることがないタクトは海へ来ていた。
その波は何事もなかったようにそっと退いていく。

この場所はタクトにとって特別な場所だった。

スガタとタクトは放課後、二人でここによく訪れていたのだ。
たわいない話をしたり、手を繫いだり、キスをしたりした。
これは二人しか知らない秘密。

スガタはある時タクトにこんな問いを求めてきた。
「タクト」
「ん?」
「君は僕の前からいなくなったりしないよね…?」
その時のスガタは今にも泣きそうな表情をしていた。
まるで寂しくて一人になるのが嫌で誰かに甘える子供のように…。
「スガタ……。大丈夫だよ、君を置いてどこかになんか行かないよ…僕は…スガタなしじゃ生きていけないから」
タクトは自身満々に答えた。目の前にいる大好きな人を少しでも安心させたくて。
「…スガタはどうなの?僕の前から…いなくなるの?」
スガタにあげた安心感を自分も欲しかった。だから同じ問いをかけた。
「僕がタクトを離すと思う?もし、君から離れたらどんな手段を使っても君を取り戻すよ…君が嫌がって逃げたそうとしたりしたらどこかに閉じ込めるかもね」
「はは、何それ」
タクトは大げさのあまり笑った。
すると、スガタはこういった。
「約束するよ…君を置いてなんかいかない」
「本当に?」
「ああ」
そういってタクトの唇にそっとキスを落とした。

(僕はどうしたらいいんだ……君のいない毎日を笑顔でなんて…送れそうにないよっ…)
ーー
それからタクトは毎日泣いた。
そして、少しでも早くスガタが目覚めるように祈っていた。
それから1週間後…
スガタが目を覚ました。
タクトは誰よりも早く、スガタの元へ走った。
だが、タクトを更なる悲劇へと襲う。

スガタは意識をなくしたまま立っていた。
それを紀羅星十字団は狙ってスガタを引き連れていこうとしていた。
バシッ!!
「しっかりしろ、スガタ!!!」
タクトの思い一撃がスガタの頬を貫く。
 
スガタは意識を取り戻した。

「…よかったっ…」
タクトは笑みを浮かべた。
だが、そこにいるスガタは以前のシンドウスガタではなかった。
「これは…お前がやったのか?」
「すが、た…?」
スガタは荒々しい声で
「気をつけろ、死ぬぞ」
とタクトに言い放った。

ーー
それから、スガタは学校にくるようになったものの、誰も寄せ付けずただ一人、皆との大きい壁を作っていた。

放課後

「タクト君…大丈夫?」
タクトが知っていたスガタがいなくなって落ち込んでいるところをワコは心配して話かけた。
「え、あ、だ、大丈夫だよ」
タクトはワコに余計な心配をして欲しくなくてわざとつくり笑いで答える。
「でも、顔が真っ青だよ…やっぱり…」
「大丈夫だから…スガタが目を覚ましてくれただけでも僕は嬉しいから…心配してくれてありがとう…やっぱり、ワコはやさしいね……こんなことなら、スガタとなんか出会わなければ良かったかもっ…」
「タクト君…」
「ゴメン、先帰る」
そういって、タクトは寮に帰った。
ーーー
それから、タクトは学校をしばらく休んだ。
熱が下がらない、と適当に理由を作って。
 
本当はスガタの顔を見るのがつらかったから。
しばらく落ち着くまで一人でいようと思った。
ワコがたびたび訪れてきたが居留守を使い誰とも会わなかった。

本当は…スガタに逢いたい…
体は大丈夫なのか、色々聞きたかった。
でも今はとてもそんなことを出来る状態ではなかった。
目覚めただけでも良かったじゃないか、と必死に言い聞かせた。
そしてタクトは、決めた。
…スガタを忘れようと
すべて、最初からやり直そうと…

この南の島には記憶を自由自在に操れるおばあさんが住んでいることタクトは聴きつけすぐにその人の下へ向かった。
もし、本当にスガタが好きなら、きっと思いだせる。と
だから、今だけは特別。
ーー
「本当にいいのかい?」
そのおばあさんはタクトに問う。もう二度ともどらないかもしれないと。
「はい、かまいません。その時は僕がその程度だったっていうだけですから…それと、記憶を消した後、僕にこういってください。道で倒れていたと」
「………わかったよ、それだけの覚悟があればこちらも断るわけにはいかない」
そしておばあさんは、タクトの記憶を消した。
(さようなら、スガタっ…)
心の中でそういったタクトは、泣きながら笑っていた。