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ちぇしゃ猫。
ちぇしゃ猫。
novelistID. 16705
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食べるもの

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ある日、一緒にご飯を食べているときだった。





いきなり、目の前の骸が言った。





「僕は何も食べることができません」




嘘をつくなと思い、皿を見ると本当に手を付けていなかった。





「不味いの?」





「いいえ、ただ食べられないんです」






人は何も食べなくなると死ぬと聞いたことがある。





なのに骸は生きている。




本当に怪物かと思っていた。




少し目の前の人間が怖くなった。




そう雲雀が考えているとき、骸は違うことを考えていた。







――――――――――



僕は『食べないんじゃない』、『食べられないんだ』。





僕は世界中のあらゆるものを食べてきた。





もう、普通の食べ物に飽きてしまったんだ。





だから、食べられないんだ。





そう思って不意に唇を噛むと、赤い液体が口の中に流れてきた。





液体の味は悪くない、




そう思ってその味の余韻に浸っていた。











そうだ。





なにも世界中の物を食べなくてもよかったんだ。





だってもうここにあるじゃないか。




『自分』という物が。


作品名:食べるもの 作家名:ちぇしゃ猫。