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風(ふぅ)
風(ふぅ)
novelistID. 24575
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miss you alone【バンガゼ】

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おひさま園では今日も子供たちが遊ぶ楽しそうな笑い声が聞こえてくる。

「晴矢!ヒロトと3人で紙飛行機作ってとばそうよ!」

風介は一人でテレビを見ていた晴矢に声をかける。しかし、晴矢は嫌そうな顔を
向けるだけでまた再びテレビに視線を戻してしまった。

「ヒロト…またシカトされちゃった…」
「今はテレビを見たい気分なんだよ」

今にも泣きそうな顔をする風介の頭を優しく撫でながらヒロトはなだめる。
そんな二人を横目で晴矢が見ていたことは誰も知らない。



「あれ、誰だろう」

茂人が窓の外を指さしながら言うと、遊んでいた子供たちはみんな窓の外の様子
を見ようと窓の近くに集まった。外には黒くて大きな車が停まっていた。

「おっきな車!」
「お客さんかな」

子供たちが口々に感想を言っていると扉が開かれた。

「姉さん、誰が来たんだい?」

ヒロトが入ってきた姉さんに訪ねると後ろからいかにも金持ちのような格好をし
た老夫婦が入ってきた。子供たちは珍しいものをみるように二人を取り囲み見つ
めた。

「晴矢、あの人誰?」

風介は見知らぬ人が怖いのか、晴矢の袖を掴む。晴矢はいきなり袖を掴まれたの
が嫌だったのか、風介の手を力強くふり払うとまたテレビの前に座ってしまった
。老夫婦はそんな二人の姿を悲しそうな目で見ていた。

「決まりました」

おばさんがそう言うと部屋を出て行った。子供たちはなにが起きてどうなったの
かまったくわからなくてただ呆然と老夫婦が出て行った扉を見つめていた。

「姉さん、あの二人は誰なんだい?」

みんなの疑問をヒロトは再び姉さんに聞く。しかし、姉さんは悲しそうな顔をし
たまま部屋をあとにしてしまった。



それから、一週間後悪夢がやってきた。

「大変だ!風介がどこかに連れて行かれる!」

ヒロトが息を切らしながら部屋に入ってくる。みんな遊んでいた手を止めて外へ
出て行く。しかし、晴矢はその場を離れようとしない。

「晴矢!もう風介と会えなくなっちゃうんだよ!止めないと!」
「あいつがいなくなったって俺には関係ない」

晴矢はそう言って動かない。

「晴矢のバカ!」

ヒロトはそう言うと晴矢をおいて言ってしまった。ヒロトがいなくなり、晴矢し
かいなくなった部屋にすすり泣く声が聞こえた。


「風介行かないでよ」
「風介がいないのは嫌だよー」
みんな、風介の手や服を引っ張って離そうとしない。

「せっかく、ひきとってくれるって言ってくれてるんだから断る理由なんてない
よ」

風介は泣きながら離そうとしない子たちをなだめる。

「風介、行っちゃったらもう晴矢と遊べないんだよ」
「…っ」

風介は少し言葉につまった。

「いいんだ。晴矢に嫌われてるから」

風介は悲しそうに笑う。

「風介くん、行きますよ」

老夫婦に呼ばれ、風介はみんなの手を離し、車の方へ歩き出す。

すると、風介を見送る子供たちの間を風が吹いたと思ったら、晴矢が風介に抱き
ついていた。

「はっ晴矢!?」

風介は目の前の光景にあっけにとられていた。

「どっどうしたの?なにか変なもの食べた?」

いつも風介を突き放していた晴矢がこんどは自分から風介に近づいてきた。

「風介をつ……いか…いで」
「え?」

晴矢は風介の胸元に顔を押し付けたままなにかを言うが聞こえない。

「風介をつれていかないで!」
晴矢はそう叫ぶと風介の腕の中で泣き叫ぶ。
老夫婦は困ったように二人を見つめていた。

「いいわ。この子を諦めるわ」

おばさんはそう言って車に乗り込む。

「え?」

二人が車の方を見たときには、もうすでに車が動き出していた。

「風介おかえり!」

みんなが風介に抱きつく。

「晴矢ありがと」

風介は晴矢に感謝の言葉を述べた。

「他のやつらがビービー泣くのがうるさいからな」

晴矢はそう言うと部屋に帰っていってしまった。

「晴矢なりの照れ隠しだよ」

ヒロトはそう笑いながら言う

それから、晴矢は風介と遊ぶことが少しずつ増えてゆき、ケンカをすることもあ
ったがその度に仲直りをしていた。