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風(ふぅ)
風(ふぅ)
novelistID. 24575
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相談するのは?【ガゼバン】

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人間とダイヤモンドダスト戦を見ながら、バーンはふとあることに気がついた。ガゼルの走り方がいつもと違う感じがした。

「なぁグラン・・・ガゼルのやつ足を痛めてるんじゃないか?」

グランはバーンに言われ、ドリブルをしているガゼルに目をやった。わずかだが、足を引きずっているような感じがした。

「うん。たしかに引きずってるかもしれない」
「あのやろ~かっこつけて試合に出やがって!!!!」

バーンはイライラしているのか、さっきからしきりに貧乏ゆすりを繰り返しながらダイヤモンドダストの試合を見つめていた。


 試合が終わり、バーンは誰よりも早くガゼルに駆け寄った。

「おい!お前足怪我してるだろう!なにかっこつけて試合に出てるんだよ!」

バーンは大声を上げガゼルに怒鳴りつける。そして、痛めているだろうと思われる左足を強く掴む。

「貴様には関係ない!」

ガゼルはバーンの手から勢いよく自分の足をひっぱってどこかへ行ってしまった。ガゼルを怒らせてしまったバーンは遠くへ行ってしまうガゼルをただただ見つめているだけだった。

「はぁ・・・」
「またため息ついてるよ」

いきなり現れたグランにバーンは驚きを隠せないでいた。

「僕が見るときだけなのか最近ため息ばっかりついているよ」
「そうかな」

バーンはそう答えると再び下を向き深いため息をつく。

「なんか心配事があるなら聞くよ」

グランはいつものおきまりの笑顔を向ける。すると、その笑顔に安心したのか、話すことを決心したかとようにバーンはグランの方を向いた。

「あっちょっと待ってて」

話そうと口を開きかけたとき、グランがいきなり止めた。

「え?」
「飲み物つくってくるよ。ゆっくり話そう」

グランはバーンの唇に指を押し付けだまるように言うと飲み物をとりに行った。その時、ふとある銀色のものが目の前を通り、プランターのとこに隠れたのが見えた。グランは不適な笑みを浮かべていた。


「持ってきたよ」

グランはホットココアを持ってグランの元に戻ってきた。ふと、さっき銀色のもの――ガゼルが隠れたところを見ると、葉っぱの影から金色の髪が少しのぞいていた。

(少しくらい自分の髪のはね具合を見て隠れればいいのに)

グランは微笑むとバーンの顔に自分の顔を近づけ下から笑いかける。

「顔、近くねぇか?」

バーンはグランの行動に少し深いそうな顔をする。しかし、バーンの声はガゼルには見えていない。グランはおもいっきり笑顔をつくる。

「聞かれたくない話かなって思ったから大きな声出さないでいいように近くまで行ってあげようと思っただけだよ」

グランがそう言うと、バーンは今から話す内容を思いかえしたのか顔を真っ赤にした。グランはわざとガゼルに見えるようにバーンの頭に手をのせるとよしよしと撫でた。するとバーンは猫のように小さくなった。

「実は・・・」

バーンはぽつりぽつりと自分の気持ちを吐き出しはじめた。

「ガゼルのやつ、足けがしてるだろ?どんなに俺が言っても治そうとしないんだ」

バーンが一生懸命ガゼルに治せと言っているのはグランを見ていた。しかし、ガゼルはライバルのバーンに言われるのが嫌なのか大きな声を出してその場を立ち去ってしまう。

「うん。そうだね」
「あいつ、治療中サッカーできなくなるのが嫌なのかな?それとも俺が嫌われてるのかな?ただ、心配してるだけなのに・・・」

バーンは俯いてしまった。

「う~ん・・・ひとついい方法があるよ」

グランは頭をなでながら言うと、バーンはさっきの落ち込みは嘘かのように笑顔になると子犬のような目で早くその解決方法を聞かせろと言わんばかりに見つめてくる。

「それはね・・・」

グランはわざと内緒話をするように耳元で囁く。

「うん!そうする!」

バーンはうれしそうに言うとガゼルの部屋へ行ってしまった。

「うまくいくといいな」

グランは小さくと冷めてしまったココアを飲み干した。


「ガーゼールっ!」

バーンはグランの助言を頼りにガゼルの部屋の前にいた。しかし、ガゼルは先ほどまでバーンとグランの様子を盗み見していたためまだ部屋にはいなかった。

「ガーゼールーっ!!!!!!いないの~?」
「うるさい」

ガゼルは偶然を装いながら戻ってきた。

「ガゼル!ちょっと話が・・・」
「キサマと話すことはない。グランと話してればいいだろ?」

ガゼルはバーンとグランが仲良さげに会話をしていたことを根に持っているのか、そう冷たく言い放つと部屋に入っていった。バーンは逃がすまいと迷わずガゼルの後をつけ部屋の中に入っていった。

「私になんの用だ」

ガゼルは疲れたのかソファーに座り込んだ。

「だから・・・」

バーンが話そうとした瞬間、下から強い力で引かれソファーに座っているガゼルの上に倒れこむように落ちた。

「あっゴメン」

バーンは離れようとするが、ガゼルが背中に手をまわし身動きがとれない状態になっていた。

「ガゼル?」

ガゼルはバーンをひきよせ顔を隠す。

「グランのことが好きなのか?」

ガゼルはさっきまでの強気な態度とは裏腹にか弱い声を出す。

「はぁ?」

バーンはあせったように上ずった声が出てしまった。

「ふーん。やっぱり好きなんだ」

ガゼルはそういうと黙ってしまった。

「なっなに言ってんだよ!グランも俺もどっちも男だぞ!好きになるわけがないじゃないか!」
「男が男のこと好きになちゃダメなのかな?」

ガゼルは下からバーンを見る。バーンは一瞬ドクンッと心臓が脈うつのがわかった。ガゼルはバーンの後頭部に手をまわす。ちゅっとかわいいリップ音を部屋に響かせながらキスをする。

「バーン。好きだ」

ガゼルは低い声で言う。だった3文字の言葉でけでバーンは顔を真っ赤にしてしまった。

「俺のそばにいてくれ」

ガゼルはそう言うとバーンが何度も何度も首を縦にふった。


 その頃グランは部屋の前で二人の会話を聞いていた。

「大成功!」

グランは小さくガッツポーズをとる。

「グラン、なにをやっているんだ?」

ちょうどそこにウルビダが通りかかり、挙動不審のグランに声をかけた。

「ボクのおかげで、バーンとガゼルが結ばれたんだよ!もう、パパの気分!!!!」

ゴンッ

骨と骨がぶつかりあう鈍い音がしたかと思うと、グランは頭をかかえて座り込んでいた。その後には鬼のように形相のウルビダが拳を握りしめていた。そう、グランはウルビダからものすごい強いげんこつをくらったのだ。

「ろくでもないことをしてる場合があったらサッカーの練習をしろ」

ウルビダはそう言うと怒っていってしまった。その後、二人で仲良く出てきた風邪ルとバーンは部屋の前でうずくまっているグランを見つけてしまった。

「グランきさまー」

エイリア学園内ではグランがバーンとガゼルにおいかけられている姿があちこちで目撃されたとか・・・。