【腐】ここだけのはなし
今まで年上の相手としか付き合ったことはなかった。にもかかわらず、最近、ギルドのガキとつきあうことになった。
まあ、年下というか子供(ガキ)だし若いし真面目な話など望むべくもなく、背中を預けるなどというのは夢のまた夢だろうと考えていたんだが。
素直で純で真面目な話も一生懸命話そうとしていて、なかなか面白い。
恋に恋してる奴を冷めて見ていたんだが、あまりにまっすぐなさまに、どうやらミイラ取りがミイラになってしまったらしい。
自分の無知さを恥ずかしがっているのも可愛いし(もっとも、これは学ぶ必要がないという意味ではない)、邪魔をするなと言ったときに寂しがる姿も可愛いし、自分の言ったことを叩き潰されておちこんでマイナス思考になるところも(とても面倒ではあるんだが)愛しいし、前衛として敵を見据える後姿は確かに一人前の冒険者だし、Mじゃないと主張しているくせに夜は半泣きでねだってくるのもぞくぞくくる。真面目な話をしていると気付いたら途方にくれてるのも、頭が悪くてたまに噛みあわないこというところも面白い。
おれ、アンタと付き合ってからかなり成長したよねと言っていたが、多分おれもそうなんだろう。
おれも多少は変化しているだろうし、この先共にいることで見えてくる風景もあるに違いない。
……何を言っているんだか。それでも言葉にしてみたいと思うほどに、どうやらおれはいかれているらしい。
まあ、本人には今わの際にでも伝えてやればいいだろう。
fin.
作品名:【腐】ここだけのはなし 作家名:東明