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後夜祭

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目の前にはほかほかの白米。そして地元以外では滅多にお目にかかれない味噌だれの焼き鳥。一口齧れば故郷の味。
 幸せだなあと帝人は思う。
 昨日はいろんな人に祝ってもらって、その特別な日が終わってもまだ、余韻のような幸せを味わえる。
 故郷の味を堪能しながらこれを送りつけてきた情報屋を思う。
 帝人しては臨也のくれた非日常に大変満足していた。しかし彼はそうではなかったらしい。
 いや――
「そういうのでもなさそうだ。」
 伝票を見れば今日に日付指定されていた。つまりこれも計画のうちなのだろう。
 何を考えてるのか知らないが、好意は美味しいので有り難く貰っておく。
 今この時の幸せを噛みしめて。

 そうして時折お茶を飲みながらそのカップを贈ってくれた池袋最強に思いを馳せる。
 子犬の絵が描かれたそのマグカップはとてもファンシーでかわいらしい。これを買ったのが彼だと思うと微笑ましくて思わず笑ってしまう。
 好奇の目で見られただろう。店員さんには怖がられただろう。人の感情には敏感な人だ。それでも彼はこれを帝人の為に選んで買ってきてくれた。
 あまり交流があるとは言えない帝人にどうしてここまでしてくれるのかは分からないが根がいい人なのだろう。
 とにかく帝人の為のカップに喜びを満たす。

 祭の最後は「ありがとう」
作品名:後夜祭 作家名:烏賊