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声を聞いて

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どうしてこうなったとか、どうしてこの人がだとかそんなことは今の帝人にとってはどうでも良かった。
静かに、ただ音もなく帝人はその蒼い瞳から涙を零す。はらはらポロポロ。
潤んでグチャグチャになった視界から見えるのは今にも泣き出しそうな臨也の微笑み。
首筋に当たっている刃物が怖いとか、目の前の男の狂気が恐ろしいとか、もうそんな感情など消え失せていた。

「ねぇ帝人君・・・帝人君は俺のだよね・・・?ねぇ、ねぇ・・・っ!」

嗤っているはずの臨也の笑みは、まるで泣きじゃくる子供のように憐れで可哀想で帝人の胸をきつく締め付ける。
帝人は声を出そうと口を開きかけるが、すんでの所で臨也のナイフが邪魔をした。
ちりっと頬が焼けるような痛みを味わう。その痛みで、帝人は自分の頬が切られたのだと理解した。

「どうせ君の口から出る言葉は俺を否定するものなんだ。俺を嫌う?俺を拒絶する?絶対に赦さないっ」

突然火の噴いたかのように叫びだした臨也は今度、帝人の首すれすれにナイフを突き立てた。
ダンッという物を打ち付けた音が帝人の耳に突き刺さる。

(この人は、僕の声を聞くことすら拒絶する・・・)

留まることの知らない涙。声を出すことも、言葉を紡ぐことも出来ないこの状況。帝人の心はもう、ボロボロだった。
愛していた。愛している。誰よりも深く深く。帝人は叫べない言葉を心の中で慟哭するかのように叫ぶ。
本当は抱きしめてやりたい。今にも泣き出しそうな愛おしい人の頬を撫でて愛していると囁いてあげたい。
けれど、帝人の本心を臨也は見て見ぬふりをし拒絶した。
臨也はナイフから手を離すと両手で帝人の頬を包み込み、帝人の鼻先と自分の鼻先がくっつくほどに顔を近づける。

「帝人君、帝人君・・・もう、絶対に離さないから・・・」

そう言うなり臨也は息をつかせぬほどの激しいキスを帝人に贈る。臨也の舌先が帝人の舌を無理矢理絡め取り、時折吸い上げ歯を当てる。
くちゅくちゅと湿った水音が2人の口の間からこぼれ落ち、聴覚からも2人を刺激した。

「俺は君を愛しているよ、だから君は俺を愛するべきなんだ・・・っ」

赤い瞳に自分の涙で汚れた汚らしい顔が映る。きっと帝人の蒼い瞳にも臨也の顔しか映っていないのだろう。
温かい雫が帝人の頬に辺り、帝人の雫と一緒になってこぼれ落ちた。帝人は泣き続ける。心の中で叫びながら。

(僕も愛しています・・・愛しています愛しています臨也さん!)

帝人は瞳を閉じると、もう一度降らされた臨也の唇を受け入れた。留まることを知らない涙は、帝人の心の叫びそのもののよう。

作品名:声を聞いて 作家名:霜月(しー)