沖田くんの作戦
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……わけがわからない。最近のあいつはおかしい……。
「おい、総悟。」
「…………」
1つ目の疑問。最近はいつもこうなのだ。真選組の副長である俺にこんな態度とれるやつは屯所内でも、総悟か近藤さんだけだ。
でも、近藤さんはこんなにあからさまに無視をするような人じゃない。そのため俺にこんな態度をとるのは総悟しかいないことになる。
それでも、前まではもっと反応していた。『うるせぇ』とか『土方コノヤロー』とか『死ね』とか。ところが最近ではそんな皮肉すら言ってこないのだ。……いったい何があった??
「おい、総悟。ちょっと話があるんだが。」
「ヘイ。なんですかぃ?近藤さん」
2つ目の疑問。俺以外の隊士には反応すること。なぜか俺の言葉にだけ反応しないのだ。
今近藤さんが総悟を呼んだのは俺の頼みだ。
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「おい、総悟。お前、最近おかしいぞ。どうした??」
「……へい」
「総悟……??何かあったのか?」
「わざとでさぁ」
「わざと……?何があった?トシのせいなのか?」
「まぁ……」
俺のせい……??ちなみに今、俺は作戦通り近藤さんの部屋の前で聞き耳を立てている。
「へい。アイツ……土方さんと俺が付き合ってるのは知ってますよねぇ?」
「あぁ、確かこの前で3カ月くらいだな。」
「そうなんでさぁ。なのにあのヤロー……。そんなことすっかり忘れてたんでぃ……。俺が3カ月の記念にと遊びに誘おうと思って部屋に行ったら『んなもんめんどくさくてやってらんねー。』って言ったんでさぁ。」
「(トシ……。総悟の気持ち考えてやれよー。)そう…だったのか……。」
「俺ぁ、不安だったんでさぁ……。アイツも……普通の男。……だから……いつか…俺から離れていっちまうんじゃねーかって……。なのにあいつはいつも余裕で……。俺が女のとこ行くっつっても山崎と一晩一緒にいてもなんもいわねぇんでさぁ。…だから、あいつにも同じ思いさせてやろうと思いましてねぃ。わざと無視してたんでさぁ
…でも、なんも変わりやせんでした……。」
「そうか、総悟……。さみしかったんだよなぁ……」
「近藤…さん…。」
「泣きたいなら泣け…。俺しかいねえんだから……」
「こ…んどうさん……。…うっ……くっ…」
……知らなかった。総悟がそんな風に考えていたなんて。
「だとよ。トシィ。」
「ふぇっ!?」
総悟の驚いた声が聞こえた。そりゃそうだろう……。
「総悟……。」
「…何ですかぃ……」
ムスッとしてそう答えた総悟。久しぶりにできたアイツとの会話。アイツとの会話がこんなに幸せで特別だったなんて知らなかった。近くにいるのが当たり前になってしまっていて忘れていたのか……?
「まぁまぁ、総悟もそうツンケンするな!素直になれ!じゃあな」
そう言い残して近藤さんはその場から去った。
「総悟……。悪かったな…。その…、泣くほどさみしい思いさせてるなんて思わなくて……」
「なっ……////////泣いてなんかっ……!!//////」
「ほんとに…悪かったな……。今度非番の時にでもでかけるか……。」
「いいんですかぃ!!」
「おう。たりめ―だろ。」
「じゃあ、行きたい所全部付き合ってもらいまさぁ。」
「あぁ。…だがその前に山崎のことシメねぇとなぁ。」
「あ……。山崎の件は……許してやってくだせぇ。」
「だめだ。お前はよくても俺はだめだ。」
「そうですかい。」
何を言っても聞かない時の俺の顔を知っている総悟は、もうそれ以上何も言わなかった。
そして翌日…………
「山崎ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!助けて下さいよぉ!!沖田隊長ぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
土方の怒号と山崎の悲鳴が聞こえたのは言うまでもない。