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君の目に映るモノは

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俺達は一つになるんだ
だから、俺の目を使えばいいんだよ
いいんだ、俺はリョウスケと一つになれればね―…?

彼は綺麗な人だと思った
その瞳は変わることなく、俺の身体に交わる

彼はいつも優しいけれど寂しい目をしていた

「リョウスケは欲が無い?」
「人並みにはあるが。」
「俺の目をそんなに使わないから。 見たいものはないのか?」

少し困ったような顔をして、「今はないな。」と答えた

彼は積極的に俺の目で見なかった
俺が手を出せば、仕方ないなぁと左目に触れて苦笑いする
そんな人だった

寂しくなった
彼の中に居ても、彼は俺を必要としない
彼は
彼は
カレは

「…!」

その目が一つの絵を捉えて、彼の心を捕らえた
来る日も来る日もその絵を見て
その絵を描いた男を見て
婚約者の女を見た
どちらも彼は好きだったのだろう


そして、自ら俺の力を使った


あんなにも力を使わなかった彼が何を見たかったのか分からない

俺は初めての感覚に打ち震えながら、酷い昂りを覚えた

次の瞬間
彼が絶望と後悔と諦めの混ざった哀しい目をした


その男と女はキスを交わした―…。


手を伸ばした
最後の希望を求めて
彼はもうそれを求める力などほとんど無くしていた
良い選択だと勝手に判断して、発動した

「どうして泣いてるの? リョウスケが二人のこと知りたかったと思…っ…。」
「見たくない…。」
「今更何を言ってるの。」
「止め、て…く、れ…。」

一度解放された力は、彼の意志では制御を失った
もうその力は抑えることが出来ずに、彼は目に映る像を拒んだ

俺は彼をこれ以上苦しませたくなかった

「さようなら、リョウスケ。」

俺は彼の左目を潰した
彼は眼帯で見えない目と俺を拒絶した

「お前に俺のシルシをやろう。」

分かっていたんだ
こういうことになるだろうことは

「…ミヤビ・レイジ?」
「そう。」
「ふぅん、変わった匂いがする。」
「何か?」

そこでふと気がついたんだ

「カタシロの家の血の匂いのしない人は初めてだよ。」

レイジは困ったように笑った
彼の目とは違う冷たくて寂しそうな目

「だめかい?」
「ううん、嬉しいよ。 …ただ少しだけ、少しだけ…寂しいんだ。」
「…じゃぁ、オレと同じだね。」

やっぱり貴方は綺麗な人だ
貴方の優しい瞳は変わらずに、レイジを見つめるから―…
作品名:君の目に映るモノは 作家名:朱鳥