神楽's Birthday
おしゃれしてかわいくなって待って、総悟をメロメロにしてやる!!
……そう意気込んでいたら
プルルルルル……
「ん?総悟からアル。もしもし?」
〈あ、神楽ですかい??〉
「どうしたネ?」
〈あの…ちぃと、急な仕事が入っちまってねぃ……。悪ぃんだが今日は行けそうにないんでさァ。〉
「そ…うか。しょうがないネ!!仕事が大事アル!また今度でいいから仕事頑張るヨロシ!じゃあな!」
……ショックだった……。ずっと前から約束していたのに……。しょうがないとは分かっていながらも、涙が止まらなかった……。
「……うっ…ふ…ぅえ…そぅ…ごぉ……」
総悟は自分より仕事が大事??
違う。総悟が何よりも自分を大切にしてくれてること、よく知ってる。
だからこそ、『今日じゃないと嫌だ』なんてわがままは言えなかった……。
しばらく一人で泣いていたら睡魔が襲ってきた。
「眠いアル。寝れば嫌なこと忘れられるかもしれないネ…」
そう呟き、さっき着替えたばかりのデート用の服をいつものチャイナ服に着替えソファに寝転がった。
するとすぐに深い眠りへと落ちて行った。
どのくらい寝たんだろう……。聞きなれた声がして目が覚めた。
「……ら……か…ら……神楽……」
「誰アルカ……?今は何時ネ…?……!!総…悟……」
「神楽…。今日は、悪かったでさァ。泣いてたんですかィ??…ってか、今も泣いてやすが…。」
「だっ…てぇ……総悟…今日は逢えないって……。」
「逢えないとは言ってやせん。」
「同じようなもんダロ!!」
「でも、泣いてたことは否定しないんですねぇ。」
「うぐっ……」
……否定はできない。ここで否定したところで涙の跡はばっちり付いてるし、目は赤いし、瞼は腫れているだろう。
「…否定は…しないアル…。……ていうか、誰のせいか考えろバカヤロォォォォ!!」
「だから、悪かったって言ってんでさぁ!!」
「なんで、お前がキレるネ!!?わっけわかんないアル!!」
「悪ぃ。あんな大声出すつもりはなかったんでぃ……。」
「本当に悪いと思ってんなら、行動にあらわすヨロシ。」
「はぁー……。わかりやした。じゃあ……」
総悟は、そこで言葉を切るとワタシのことを抱きしめた。
「これで満足かィ。」
「……まっ……まだまだ足りないアル!!」
「そうかィ。じゃあ、これでどうでィ。」
総悟は、待ってましたと言わんばかりの顔と照れたような顔がまざった顔をしてワタシの顔の前に何かの箱をちらつかせた。
「ん?何アルか?これ。」
「いいから、開けてみなせェ。」
なんで総悟の顔はあんなに真っ赤なのか…?
………開けてみて答えがわかった。
「お前……コレ……。」
「おっ……俺と結婚してくだせぇ!!」
「私でいいアルか??」
「お前じゃなきゃ嫌でィ。」
「後悔しないカ…?ワタシ、夜兎アル。」
「後悔なんてするわけねぇだろィ……。夜兎だろうが何だろうが関係ねぇ。俺には、神楽が必要なんでさァ。
だから…結婚してくれねェかィ……?」
「……ハイ……。」
総悟……。ずっと一緒アル。
…………アリガトウ……………
作品名:神楽's Birthday 作家名:のん