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悲恋奏 「強さ」 ~菊視点~

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最初から解ってたんでしょう?
出逢いがあるなら、別れがあるように、私たちの「永遠」にも終わりが来ると。


憎たらしい子供だ、と思ったでしょうね。
だって、初対面でいきなり、失礼なことを言ってしまったのですから。

貴方と対等な立場になりたいと思って背伸びしただけなんです。
…こんな理由を並べても今の貴方は許してくれない。

貴方が教えてくれたことは私たちの奥底で、ずっと息づいている。

成長していく私や他の兄弟たちを見て太陽のような笑顔で微笑んでくれた。
私はそれが嬉しくて…もっと追いつきたい、同じ目線で歩きたいと思ったものです。

でも、その笑顔は「あの人」に壊された。

強国中の強国。
ただでさえ狙われていた貴方。
そして…何一つ出来なかった私。

後悔の念は心の中で渦巻き続けた。
そう、私は怯えていたのです。

いつか自分もああなってしまうのでは―――と。

そんな私に一筋の「希望」? …いいえ「絶望」がやって来ました。
彼は私を、あの人が貴方にやったようなやり方ではなく、
外の世界に連れ出してくれました。

貴方とは違う、笑顔に私が初めて惹かれた瞬間。

「世界」を教えてくれた彼はあの人の弟でした。

眩しすぎる世界の中、私は足掻いた。
そうして手に入れたのは…「強さ」。

もう、「何一つ出来なかった私」ではない。
「守れる力をもった私」になったのだ。


…しかしその「強さ」に払った代償は
紛れもなく貴方だったのです。

解っていなかったのは私でした。

でも、「私」は振り返ることを許さなかった。
もっと前へ…上へ…。

貴方を傷付けたあの人と手を結び、
対等な立場であの人の瞳を見た。

あの人は…知っていたんでしょうか?
私の矛盾を―――

だから「俺たちは似た者同士」などと言ったのでしょうか?





もう、狂った時計の歯車に道はないのです。

血塗れになっても、進まなければならない。

矛盾と嘘で包まれた「私」を笑ってください。

いつか、いつの日か、針が一周廻って

同じところに戻ってこれるときまで

サヨナラ―――



私が愛した「国」よ―――――