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コンビニへ行こう! 前編

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帝人は吹き出すのを堪えながらその言語にうんうんと頷き、着てきた薄手の上着を羽織ってカバンを手にした。早く行かなくてはその残念なイケメンが、帝人に置いて行かれたんじゃないかと考えて一人でパニックに陥ってしまう。一度、店長に話しかけられて店を出るのが遅れたときなど、半泣きで待っていたのだ。
「じゃお先に失礼します!」
「はーい、残念なイケメンにイケメンの友達がいたら紹介してねー」
「はは、期待しないでください」
ばたばたと店を後にすると、やっぱり自動ドアのすぐ横で、不安そうな顔をして立ちすくんでいた臨也がほっとしたような表情を見せた。
「お待たせしました!」
「う、ううん!今日はどこに行こうか!」
「えっと、そうですねー朝マックにします?」
「何でもいいよ!」
そんないつも通りのやりとりをして、二人揃って朝御飯を食べに行くのも、これで何度目のことだろうか。帝人は思う。
ああやっぱり朝ご飯最高。食事は至福の時。奢ってもらえるし!
決して、決してそれだけが理由ではないけれど、やっぱり奢ってもらえるのはいいことだ!




「いや、それ違うだろ?」
ずずずっと紙パックジュースを飲みながら、正臣が微妙に眉をしかめた。その隣で杏里も首をかしげている。
「え、何が?」
お弁当を食べつつ、そんな二人の反応に疑問を示せば、返ってくるのは大きなため息だった。あきれたような顔の正臣が、あのなあ、と。
「それは友達って言うのか?」
「えー?でも、正臣や園原さんともご飯一緒に食べるし」
「そういう意味じゃねえって」
だからー!と声を上げて、正臣はびしっと帝人を指さした。


「それって、昔の言葉でいうところのメッシー君だろ!」


めっしー?なんだそれは。
しばらく首をかしげてから、帝人はようやくその単語の意味を、字面から理解する。っていうかなんで正臣そんな古い言葉知ってるんだろう、とか思いつつも。
「え?や、ち、違うよ!前提で友達って言うのがあって、その上で……」
「帝人意外と悪女だな」
「はあああ!?」
「貢がせるタイプだったんですね、竜ヶ峰君……」
「ちょ、園原さんまで!?」
そ、そうなんだろうか!?帝人は言われたことを良く考えてみるけれど、別にそんなつもりで朝御飯のお誘いをうけているわけではない。ただ、少しでも多く臨也と話してあげれば、彼が他人と会話をする訓練になるんじゃないかと思っていただけ……のはず。
決して、奢ってもらえるからという理由だけでは!
「ち、違うって!そんな変な意味じゃなくて、だから、あの人が他人に慣れるようにという親心みたいなものであって!そりゃ毎回奢ってもらって悪いなあとは思うけど、社会人だから自分が出すのが当然だって言いはるし!」
「いや、そりゃ年上のプライド的にはそう言うだろうよ……」
「竜ヶ峰君の話を聞いていると、とてもまともな社会人とは思えませんが……」
まともな社会人?
帝人は首をかしげて、黒コートをばさばささせながら歩く臨也を思い浮かべた。あのコートを着てスーツを着て会社に行くような人には、たしかにとても見えない。かといって、フリーターという話も聞かないし、本人曰く結構稼いでるって……。
「ま、まさか……」
帝人はごくりとのどをならし、つばを飲み込んだ。
もしかして。
もしかして、稼いでいるとは本人の妄想で、実際はニートひきこもりだったりするんだろうか。そして毎回帝人におごっているお金は、なけなしのお小遣いだったりとか。そうだよ、大体あのコミュニケーションのとれない意味不明な言動がデフォルトな人が、縦社会で生きていけるはずがないじゃないか。イケメンなだけじゃ世の中は渡っていけないものなのだ。他人と目を合わせておしゃべりできない人間が会社で働くとか、そりゃいくラナンでも無茶すぎる。
つまりあの人は、無職?


あり得ない、とは言い切れない!


「ど、どうしよう、僕もしかして酷い奴!?」
慌てる帝人に、どうだかなあ、と考える正臣と杏里。二人は帝人からの伝聞でしかストローさんを知らないので、なんとも答えようがない。
「一度何か、返してみたらどうだ?」
交友関係の広い正臣が、頭をかかえる帝人にアドバイスを告げた。
「奢ってもらってるなら奢り返してみるとか……、お金が無いなら手作りでもいいんだし」
「なるほど!」



……よ、よし、今度ご飯に招こう!


作品名:コンビニへ行こう! 前編 作家名:夏野