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傍に居れれば良い

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(門田……だったよな、確か…)

池袋の町をあてもなく歩いている1人の男――六条千景は、ある人物を探していた
門田京平…つい先日、この池袋で千景と喧嘩をした人物だ

千景は自分に、凄いとまでは言わなくてもそれなりに喧嘩が強いという自信があった
現に千景は埼玉のTo羅丸という暴走族の総長というポジションに立っている

しかし、門田はそんな千景に見事に勝った
確かに千景はそのとき、平和島静雄との喧嘩で怪我をしていた
だが、千景が例え万全だったとしても、門田に勝てたという自信は無い…

それほどまでに門田は強かったのだ
喧嘩慣れしているレベルじゃない、圧倒的な強さが門田にはあった

それから数日…
千景はずっと門田について考えていた
厳密に言うと、門田のことが頭から離れなかったのだ

(…何なんだよ、ったく…俺より強ぇ奴なんてたくさん居んだろ…)
と自分に言い聞かせてみても、気がつくと門田のことを考えている…
そんな日が続いていた

だが昨日
(……会いに行ってみっか、何処に居んのか知らねぇけど…)
唐突にそう思ったのだ

そして埼玉から池袋まで来て、あてもなく探し続けていた
しかし、やはりそんな簡単に見つかる筈もなく…

(やっぱ見つかんねぇか…ま、いつもどうしてんのかも知らねぇしな)
と諦めかけたその時
「千景…?」
と突然声を掛けられ振り返る

「よぉ、やっぱ千景じゃねぇか。池袋まで何しに来たんだ?」
「…かど、た…?」
声の主はずっと探していた門田だった
半ば諦めかけていただけに、千景は驚きを隠せなかった

「何で、ココに…?」
「あ?いや、一仕事終らせて昼飯でも行こうとしただけなんだが、用事とか無ぇんならお前も一緒に行くか?
 つか、お前こそ何で居るんだ?」
「いや、特に用は無ぇよ。つか、仕事してたのか!?」
笑いながら問いかけてくる門田に、千景もやっと落ち着きを取り戻し、笑い返した

「失礼な奴だな、社会人だって言っただろ?」
そんな千景に門田は苦笑いで溜息を吐いた
「いや、言ってたけどよ…マジだったのか、何の仕事?」
千景はまだ信じ切っていない様子で、質問を投げかける

「何で嘘だと思うんだよ…ん、あぁ、左官屋っつーのか?店とかの壁を塗ったりする、まぁ内装屋みてぇなもんだな」
「うわ、かっけぇ!!職人!!って感じだな」
「意味分んねぇよ」
ハハッと笑う門田の笑顔がカッコいいなと思った

「じゃ、用事無ぇんなら一緒に飯食いに行くか?その辺のラーメン屋とかだけどな」
門田に声を掛けられ、思わず見とれていた事に気づく千景…
「あ、あぁ、ラーメン?ありがとな、門田太っ腹!!」
「誰も奢らねぇぞ、言っとくが…」
「えぇ、オッサン冷たーい」

気付かれないように、そして自分も気付かないように…
たった今芽生えた気持ちから無理矢理目を背けるように、千景は明るく振舞った
そうしてる時点で気付いていたのかもしれないが、受け止めたくなかった
受け止めてしまったら、自分に向けられているその優しい笑顔が、声が、この関係が崩れてしまう、そんな気がして…

「どれにしよう…醤油が美味そうだけど、塩も良いなぁ…」
「急がなくて良いぞ、ゆっくり選べ、全部美味いからな」
「おぅ、門田やっさしー」

千景は門田に笑いかけながら、生まれたばかりの気持ちに蓋をしたのだった…

作品名:傍に居れれば良い 作家名:咲羅