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嘘で塗りつぶした恋

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俺は名探偵の目が好きだ。
犯人を捕まえる時のあの獲物を狩る様な眼差し。
怪盗として名探偵と対峙する時に
あの目で見られるとぞくぞくするんだよなあ。



あ、言っておくが俺は断じてマゾヒストでは無い。
罵られて喜ぶ様な趣味は生憎持っていないんでね。



ビックジュエルを盗み出して、
中森警部達を上手く撒いて逃走する途中には、
いつも名探偵が訪れる。
どうやら俺の逃走経路を推理してわざわざ訪れている様だ。



俺は宝石を持ってビルの屋上なんかに降り立って、
月に宝石をかざして確認した後、名探偵に宝石を預ける。



その短い間に俺達は僅かな逢引をする。
・・・いや、逢引と言うと語弊があるかな。

別に俺と名探偵の間では何か色っぽい事がある訳では無い。
そもそも元が高校生だって言っても、今の名探偵の見た目は小学生。
色っぽい事なんてあったら間違いなく犯罪になるだろう。
怪盗をやってる様な奴が言う事じゃないと思うけど、
やっぱりそれはまずいだろ。




そうして名探偵との逢引と、宝石の確認と、返却。
これを毎回繰り返す。




口には絶対出さないけど、
俺はこの名探偵と会う時をほんの少しだけ楽しみにしてる。



真っ直ぐに見つめる強い眼差し。
口を開いて出てくるのはお互い皮肉や憎まれ口。
だけどそうして戯れられるのも、
やっぱり相手が名探偵だからなのかもって思うんだよ。



怪盗と探偵って関係だし、仲が良いとは決して思わない。
けれど、こんな時間が俺は嫌いじゃない。
この感情を何と呼ぶのか、俺には分からない。





(否、分かりたくないと)
(そう願っていた)





得意のポーカーフェイスに本心を紛れさせて、


(そうして嘘で塗りつぶした)





ーガチャリ、






「・・・・よお、キッド。やっぱり此処に居たんだな」







おっと、名探偵が来たな。
それじゃ話は此処までにして、








(今宵も、一時の逢引を楽しむとしようか?)







「おや、名探偵・・・・またいらっしゃったんですか」











嘘で塗りつぶした恋



(溢れ出てきそうな位に募った気持ちに、)

(もう随分と)

(こうして気付かないフリをしていた)





作品名:嘘で塗りつぶした恋 作家名:白柳 庵