【デュラララ!!】罵り愛?【シズ←イザ】
ははは、池袋最強なんて言われてる君が随分情けない格好をしているね、シズちゃん。
ああ、暴れても無駄だよ。その鎖、わりと頑丈にできてるから。
さすがの君でもそれを壊すのには骨が折れるだろうね。
ところで今回の件、君は楽しんでくれたかな?
ははっ、俺は大いに楽しませてもらったよ。
あの子たちは予想通りに動いてくれたけど、想定外のことも幾つかあったなぁ。
人間は本当に興味深いね。また次のことを考えると、背筋がぞくぞくするよ。
あー俺は本当に人間が好きだ。愛してる!
でもね、シズちゃん。俺は、君のことは嫌いだ。うん、ホントだいっ嫌い。
何故だか分かる?
君は、ヒトなのに人間じゃないからだよ。
ふざけるなって?
まぁ、たまには俺の話、ちょっと聴いてみなよ。
殺し合いにもそろそろ飽きてきたろ?
さて、シズちゃん。君は人間というイキモノのどこが面白いかわかるかい?
…それはね、葛藤だよ。動物の持つ本能と、人間「特有」の理性。
それらのちっぽけな諍いでもって、人間は「人間らしく」なれるのさ。
俺は人間がそんな瑣末な出来事に、律儀にも「人間らしく」心を砕いているのをみると、
たまらなく彼らが愛しくなる。
理性は人間「特有」のものだなんて都合のいい妄想で、ちっぽけな虚栄心を満たしながら、
さも「人間らしく」振舞おうとする矮小な彼らを、どうして愛でずにいられるだろうか。
人、ラブ!俺は人間が大好きだ!
…ねぇ、気づいた?今俺は「彼ら」といった。決して「君ら」ではないんだ。
だって、さぁ、シズちゃん、君は「彼ら」とはちがう。
その体や能力は勿論、その心さえも。
君は葛藤する間もなく、瞬間的に本能が勝る。
ほら、今だって、目の前の俺を殺したくて、壊したくて、うずうずしてる。
その鎖に繋がれてさえいなければ、そうだなぁ、その椅子でもって俺を殴りつけたり、床にたたきつけたり……
あぁ、ほら指先がぴくぴくしてる。想像してたまらなくなっちゃった?
全くもって君は救いようがないね。でも、俺は優しいから、ちゃんと君に教えてあげるよ。
普通の人間は決してそうじゃぁないんだよ。君は本当におかしいんだ。
あはは、とっくにわかってるって眼だね。すごい暗い色をしてる。うん、ちょっとだけ安心した。
君も多少は葛藤したんだね。
可哀想なシズちゃん。その葛藤を手放したせいで、君は「彼ら」からはぐれてしまったんだ。
君は二本の足で立つ。言葉を操る。道具も使う。
それなのに君はヒトであっても、人間じゃない。化物だ。
わかってるだろ?皆が君を見る目を。あの目を。
俺が君を見る、この目を。
さて、まだ話したいことはあったんだけど、そろそろ行かないと。その鎖、そろそろ限界みたいだしね。
ああ、最後にひとつだけ。
俺は今ここで君を殺すこともできるはずのに、何故それをしないんでしょうか?
じゃぁね、シズちゃん!
また、会おうね。
end
作品名:【デュラララ!!】罵り愛?【シズ←イザ】 作家名:rikka