君の隣は 円風(基緑・南涼)
羨ましい過ぎてそれに自分達を比べるととてつもなく悲しくなって。
あの二人みたいに、誰も入る余地なんかないくらい愛し合ってたなら。
ほら、今日も二人はあんな仲良しで。
「何読んでるんだ?」
「絶園〇テンペスト。」
「不破真広かっけぇよな!」
「はぁ?吉野だろ?」
「は?吉野なんか愛花にデレデレしてるだけじゃねぇか?」
「それは彼女だからだ。真広なんか復讐してるだけじゃないか。」
「そこがいいんだよ!」
「吉野の方が良い。」
一見見れば仲の悪い人達。
でもわかる。
二人は愛し合っていて互いが互いに依存してる。
昔からこういうのには鋭いんだよな。
「えー僕は夏村かな。」
「「五月蝿い。」」
ほらヒロトを弾き返した。
円堂は?
円堂は俺をどう思ってるのだろう。
でも愛したのが円堂で良かったとは思ってる。
ダークエンペラーズに入った俺を全力で助けてくれた。
それからも前みたいに話してくれる。
だから、そんなお前だから人が寄ってくる。
円堂のそんなところに惹かれたんだけどな。
やっぱり嫉妬してしまう。
俺は円堂と幼なじみってだけで。
別に俺が幼なじみじゃなくても良いんだろうな。
円堂は皆と仲良いからな。
でも付き合ってもないのにこんなの思うのは図々しいな俺。
「や!風丸何してんの?」
顔を上げれば緑の髪を後ろでよわいた俺と似た髪型の男子が立っていた。
緑川だ。
緑川は俺の横に座った。
「悩み事?」
「お前はエスパーかよ。」
「だって、涼野達見て深刻そうな顔してたから。」
見られてたのか。
恥ずかしいな。
「緑川は好きな奴いんの?」
「ん。まぁ一応付き合ってるし。」
「そうなのか!?」
緑川はもう付き合ってるんだな。
誰とかは知らないけど。
やっぱり羨ましいな。
でも俺なんかが告白しても円堂ひくだろうな。
緑川は俺を見て空を見上げると少し懐かしそうな顔して言った。
「昔はね迷惑ばかりかけてた。所謂幼なじみでね。そいつは男女に人気でね嫉妬した。でも俺にもちゃんと仲良くしてくれた。」
何だか…、俺と円堂に似てるな。
「エイリア学園が無くなってそいつは告白してきたんだ。俺は嬉しくて泣いたな。今もそいつは皆と仲良いけどそこがそいつの良いところだから。それに俺をイナズマジャパンに誘って来た時に言ってくれたから。愛してるよって。僕は緑川とずっといたいからって。」
「緑川…もしかして付き合ってるのって…。」
「皆には内緒だよ。」
緑川は人差し指を口の前に当てて笑った。
「緑川ー!!!」
赤髪の少年が緑川を呼んでる。
ヒロト、まさか君が緑川と付き合ってるなんてね。
緑川は「頑張れよ!」とニカッと笑ってヒロトのもとに走ってく。
そういわれれば、確かに緑川とヒロトは非常に仲が良かった。
緑川の隣はヒロト。
いつの間にかなっていたんだ。
でも円堂の隣は?
俺じゃない。
鬼道とか豪炎寺なんだろうな。
空を見上げれば真っ青で。
風が気持ち良かった。
空にふと浮かんだ円堂の顔。
でも幻じゃなかった。
円堂が俺を覗き込んでいたのだ。
「うわっ!」
俺は驚いて後退りした。
円堂はごめんごめんと謝った。
「風丸さ、緑川の事好きなのか?」
だなんて真顔でいきなり聞いてきたからまた驚いた。
どっからどうなったらそうなるのかが不思議で堪らなかった。
「いやただの良い友達だけど。熱あるんじゃないのか?」
「…嫉妬した。」
「は?」
そしたら円堂を俺の横に座り顔を赤らめるものだから。
調子が狂う。
「いつも俺の隣には風丸がいるからさ。」
「円堂の隣は人が居すぎて分からないよ。」
「俺風丸の事好きみてぇだ。」
これまでで一番驚いた。
円堂の言う好きはどんな好きかは分からないけど。
抱きしめられた。
これは恋愛感情としての好きって思ってもいいのかな。
ただ、お前が隣に居てって言ってくれるなら。
居てやってもいいよ。
だなんて。
自惚れかな。
作品名:君の隣は 円風(基緑・南涼) 作家名:りるら