離さないよ
この想いが届く事なんてないことなんか。
それくらい君は遠くに行ってしまったんだよ。
所詮俺は君よりサッカー出来ないし外見だって良くないし(寧ろ女に似てる)頭だって良くない。
それに年上だから君と対等だなんて思えないんだ。
やっぱり元セカンドランクの俺と元マスターランク兼ジェネシスだった君が釣り合う訳がないんだなんて。
君は円堂守に興味を持ったね。
それから、円堂くん円堂くん連呼するようになった。
聞いてるこちらとしてはそろそろ鬱陶しいんだよ。
確かに円堂には俺も関心はある。
でも、あまり連呼してほしくないんだ。
君は気付いてないだろうけどずっと俺は
君が好きだったんだよ。
でもあっという間に時が過ぎてエイリア学園が形成されたから勿論想いを伝えられる訳も無く。
今だって日本代表落ちちゃって君と会えなくて話せなくて。
でも電話する勇気なんか俺には無いわけで。
弱虫な俺に嫌気がさす。
家に帰宅しベッドにダイブすると電話が鳴った。
疲れきった体を起こして電話を取るとずっと聞きたかった声が聞こえた。
だから涙を流してしまった。
「もしもし。」
「緑川。ヒロトだけど。」
「ヒロト…。」
涙を袖で拭って、なるべく明るい声を出そうとするけど難しい。
「緑川、僕ね、好きだったよ。緑川の事。」
「過去形か…はは…。」
ヒロトの声はしなくなった。
図星…か。
何で今更そんな事言うんだろう。
俺を苦しませて何が楽しいんだ。
君は気付いていたのか、俺の気持ちに?
電話をぶちっと切ってその場にしゃがみ込んだ。
何で俺だけいつも報われないんだろう。
いつも、ヒロトが先に行ってしまう。
もう嫌だよそんなの。
パリーン
後ろから窓硝子が割れる音がして振り向いた。
するとサッカーボールを手に持ったヒロトがいた。
ヒロトは何故か涙を流しながら笑っていた。
何で此処にいるんだよ。
試合どうしたんだなど聞きたい事がいっぱいあったけど全部聞けなかった。
「今でも好きだよ。緑川の馬鹿野郎。」
はにかみながらそう言うヒロトは太陽みたいに眩しかった。
馬鹿野郎と笑ってやり、ヒロトが差し出した手を握った。
今度は置いてかないでよ。
そんな気持ちで手を強く握った。
絶対離さないよこの手。
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カムパネルラとラフ・メイカー聞いてたらできてたw