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次会うときは

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パンッ

目の前が眩しいくらいに輝いた。
鼓膜が破れそうなくらいの壮絶なる銃声と共に銃弾が胸をえぐった。
どくどくと溢れ出す真っ赤な鮮血。
ぐいぐいと奥に進もうとする銃弾が肋骨をも突き破り、心臓に。
その瞬間視界がふっと暗くなった。
脳裏に浮かぶ数々の思い出。
高校時代からずっと好きだった彼の姿ばかり現れる。
もう一度だけ君と会いたかったよ。
もう一度だけ君と話したかったよ。
最期に君の顔が見たかったよ。
そして完全に視界は闇へと化した。





「晴矢ぁまだぁ?」
「もう少しだっての。」

あーだうーだ言う茂人が退屈になったのか俺を急かす。
俺は今、自身の昼食と茂人と夏彦の昼食を作っている。
当初は自分のだけ作る予定だったのだが、いきなり茂人と夏彦が訪問してきて、俺に昼食をねだってきた。
自分で作れよと思ったが俺は優しいので彼等の分まで作る。
後は焼くだけとなった時夏彦の声がした。

「テロだって。」
「わー怖いねー。ね?晴矢?」

茂人が俺に振ってきたので、あぁと適当に返してやる。
それより料理に集中せねば。

「人質が2人捕まって2人共殺されたって。」
「凶悪だな。」

茂人達が今ニュースでやってたテロについて話しはじめた。
殺されたのか。
警察は何やってんだよ。
するといきなり茂人達の声が聞こえなくなった。
不思議に思ってキッチンを出て茂人達を見に行く。
夏彦は青ざめた顔をして俺を見た。
はてなマークを頭に浮かべていると茂人はTVから目を離さずにTVを指差した。
TVの画面を見てみると先程茂人達が話していたテロのニュースがやっていた。
その瞬間自分の目を疑った。
人質に取られ殺害された人の欄に<涼野風介(24)>と記されていた。
手が震え始めて足もがくがく言った。
血の気がすーっと消えていくのが分かった。

涼野風介…。
ずっと想いを寄せていた相手だ。
高校時代の同級生で他の友人よりも特別仲が良かった。
でも向こうは自分をあくまでも"友達"としか思っていないだろうと思って気持ちを伝えられなかった。
卒業してそれぞれの道を歩むようになって彼とは連絡も取る事すら無かった。
電話しようと何度も思ったが変に意識して出来なかった。
そうぐたぐだしていたらあっという間に24歳になった。
そしていきなり彼がこの世に別れを告げた事を知らせるニュースが飛び込んでくる。
目から温かいものが溢れ出して止まらない。
茂人と夏彦は高校時代からの友人だから涼野を知っている。
だから俺を気遣ったのか部屋を出て行った。
料理が焦げる匂いなんか気にもしなかった。
ただただ涙を流してその場に立ち尽くしていた。





「南雲。」
「何だぁ。」
「私は将来どんな人間になると思う?」

んーっと南雲は黙り込んだ。
涼野が南雲を覗き込むと南雲は慌てて涼野から目を逸らしガシッと涼野の腕を握った。
涼野はきょとんとして驚いた。

「何かすげぇ人!」
「そんなアバウトな。」

涼野はくすくす笑った。

「だって俺、あんたみたいなすげぇ奴見た事ないし!」
「私も君みたいな人は見た事ないよ。」
「だろうな!」

夕日に照らされなから二人は屋上で笑った。
二人は互いを見つめながら願った。
(ずっと一緒にいたい。)





目を開くと、周りは海なのか真っ青で薄暗かった。
でも何故だか息は出来たから多分これは夢なんだなと察した。
周りを見渡すと遠くに黒くぼやけた人影らしきものが見えた。
興味本位でゆっくり近付いてみる。
段々人影が鮮明に見えはじめた。
すると向こうは俺に気付いたのかくるっと動いた。

「南雲。」

そう声がした。
その声にはっと息を飲み今度は走って近付いた。
そこにはもう二度と会えない涼野がいた。
悲しげな笑みを浮かべて、俺を見た。
涙が出たが周りの水と一体化して見えなくなった。

「す、涼野…。」

会いたかったと言えば向こうも、私もと言った。
何年ぶりなのだろうか。
涼野は高校時代と変わらなく綺麗な顔立ちだったが少し大人びていた。
すらりとした華奢な体つきは相変わらずだった。

「あんた、何で死んじまったんだよ。」

涼野はゆっくり瞼を閉じた。
そしてまたゆっくりと開いて下を少し俯いた。

「私を撃った人がたまたま君と同じ髪の色でね。それが君を連想させてついぼーっとしてたら人質になっていたんだ。
捕まった後も、撃った人はストレートだったから南雲じゃないなぁとか呑気に考えてたら、目の前が真っ赤になったよ。」

おかしな話だろう?とくすくす笑った。

「もう時間だ。」

嫌だと俺は言った。
涼野はふるふると首を横に振った。

「こればかりはどうにも出来ない。ごめんね、南雲。」

これが本当に会うのは最後なんだな。
それだったらさ、今度は言えるよ。

「好きだ、風介。」

涼野は目を見開いた後、にっこりと笑った。

「私も好きだよ、晴矢。」

それが堪らなく嬉しくて何で今まで言えなかったんだろうと悔やんだ。

「晴矢が頑張って生きて、それでも生きれなくなったら今度はこっちの世界で会おうね。」
「待ってろよ、風介。」

涼野はこくんと頷いた。
別れ際に涼野はあ、と呟いた。

「君の髪って本当大好き。」

照れ気味にやったと言った。
すると目の前が真っ暗になった。





ゆっくり瞼を開けると散々見た天井が目に飛び込んできた。
重い体を持ち上げて、引き出しの中から写真立てを取り出した。
そしてアルバムから写真を引き抜いて入れた。
それを机に飾ってうんうんと頷く。
涼野との写真。
あんたに今度会った時、話題を沢山持っていかねばな。
鏡の前に立ち横に跳ねた髪を櫛で梳かしていたら自然と笑みが零れた。

あんたに次会う時恥ずかしくないように俺は精一杯生きます。
作品名:次会うときは 作家名:りるら