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長い長い家路

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シェリルはアルトの手から携帯を取り上げると、音声メモモードに切り替えた。
「あら?」
録音にするはずが、音声が再生される。
『ガサッ…イイ思いさせたげるからさ…割り切った付き合いってヤツで』
「これは、なあに?」
シェリルがジロリとアルトを見た。
「う」
『なんだい、カノジョの一人や二人居るんだろ? こんなハンサムなんだからさ。フロンティアに帰るまで…後腐れ無しでいこうじゃないか?』
はすっぱな上官の声がスピーカーから流れ出る。
「あ、いや、その…」
何てところで、リアリティがある夢なんだ。
アルトは驚きのあまり声を出せなかった。
「私が、アルトの、アルトの事だけ考えて、歌っている間に、何をしてるの?」
シェリルの視線が冷たい。
「誤解だ、最後まで聞けっ」
ようやくアルトは返事できた。
『女性が相手でもセクハラで訴えられるぞ』
アルトの録音された声が流れ出た。
シェリルは手の中の端末を見た。
『操を立ててる』
「誰に操を立ててるの?」
シェリルはアルトを見つめた。
「言わなくてもわかるだろ」
「言いなさい」
「俺はお前のこと愛している」
アルトは、バジュラ女王が緊急フォールドする瞬間に言った言葉をもう一度告げた。
シェリルは耳にした事が信じられないかのように目を見開いた。
「だから、必ず帰る。待ってろ、必ず帰る」

『緊急フォールドアウト…本艦は緊急フォールドアウトしました』
バトルフロンティアの運行を司る機械知性のアナウンスが第二艦橋に流れた。
「う……」
エステファン大佐は意識が焦点を結ぶようになるまで息を長く吐いた。
「現状を報告せよ」
「フォールドハイウェイは急速に不安定化、本艦は緊急フォールドアウトしました」
機械知性の報告に、エステファン大佐は首を横に振った。
「現在位置は」
「惑星ザナドゥの近傍宙域です」
メインモニターに映し出された赤い惑星はザナドゥと仮に命名された惑星に間違いなかった。
「振り出しに戻る…か」

作品名:長い長い家路 作家名:extramf