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レインロード

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夕暮れ時の河川敷で僕、宮坂了は1人物思いにふけていた。




先週、風丸さんが陸上部を退部した。

憧れて…
尊敬してやまない風丸さんが。

弱小サッカー部を助ける為に。


「このままじゃサッカー部は廃部になってしまうんだ。幼馴染の円堂が大切にしている部活が廃部になってしまうのを、俺は黙ってみてられないんだよ」


僕はわかっている。
風丸さんは円堂先輩の事をただの幼馴染だといっている。

でも

風丸さんはいつも円堂先輩を見ている。
部活中も自分の練習をしながら円堂先輩を探している。

いくら鈍感な僕でもわかるよ。



ただ純粋に


風丸さんは


円堂先輩を


心から想っているって。




始まりはただ、遅刻しそうな風丸さんが校舎に駆け込む姿が凄くかっこいいと思っていただけだった。

こんな先輩がいる部活にはいりたいなって。

僕もこのくらい速くはしりたいなって。

だから僕は陸上部に入った。





いつからだろう。

もともと走ることがあまり得意じゃ無かった僕に走る事の楽しさを教えてくれた。

毎日のキツイ練習に心が折れそうな時にそばにいて励ましてくれた。

そんな風丸さんともっと仲良くなりたい。

もっと近づきたい。

ずっと

ずっと一緒に走っていたい。

そんな風に思うようになったのは…



気持ちがこぼれて…

抑えられなくて…

僕はどれほど風丸さんに気をつかわせただろうか。

どれほど困らせただろうか。

風丸さんは優しいから。

きっと僕の気持ちにこたえようとしてくれただろう。



え…あれ?


僕はもしかして風丸さんの負担にしかなれなかった?






そこまで考えたところで頰になにかが落ちて来た。

雨が降ってきたのだ。

雨はしだいに強くなり、宮坂の涙を溶かしていった。


(こんな雨…)


すぐにやむ。

頰を伝う涙とともに。


「ばか……風丸さんのばか…!人の…気持ちも知らないで…っ!」


潰れてしまいそうになるのを必死になってこらえる。


必死になって…

必死になって追いかけたのは結構無駄だったのかな?


ねえ風丸さん。

風丸さんが円堂先輩の事を想うように

僕が風丸さんを想うのは間違いでしたか?


風丸さんは円堂先輩を選んだのに

僕が風丸さんを諦めないのは間違いですか?



いくら考えてもわからないなら…


僕は考えるのをやめます。



風丸さんを…



諦めます。



だから今だけは…



とめどなく流れていく涙を許してください。






次の日…

空は昨日の雨が嘘のような晴れ模様だった。


僕は今日、髪を切った。


少しでも風丸先輩に近づきたくてのばしていた髪ももう必要がない。


(失恋したんだ…髪を切るのもおかしくない…よね?)


何度目かわからない自問自答を繰り返す。



そうしているうちに河川敷が見えてきた。

僕はこれから気持ちの整理をしてくる。

今日は土曜日。

いつも通りならばここでサッカー部は練習しているはずだ。


どういう顔で風丸先輩に会うか考えていた時…



「おーい!宮坂!!そのボール取ってくれないかー!?」


声の方向をむくとそこには円堂先輩がいた。


仕方なく足元に転がってきたボールを取ると


「おい宮坂!サッカーやろうぜ!!」


「……はい?」

意味がわからない。
なんで陸上部の僕がサッカーなんてやらなきゃいけないんだ。


「すみません。今日は用事があるので…」



「そうなのか。お前なんか思い詰めたような顔してるからさ!悩んでいる時はサッカーやるに限るぜ!悩みなんてボールと一緒にとんでいっちまう!!」


極上の笑顔でそんな事言うから


僕はなにもかも馬鹿馬鹿しく思えてきた。



(あぁ…やっぱり円堂先輩にはかなわない…。そりゃそうか。あの風丸先輩が陸上を捨てるほど惚れこんでいるんだから)


だから僕は僕なりの極上の笑顔で


「円堂先輩!僕は絶対に円堂先輩には負けません!!今に見ていて下さい!それじゃ、失礼します」


そう言って走り出した。


後ろで円堂先輩が何か言っているがもう聞こえない。


僕は前だけを向いて走って行くんだ。


風丸先輩ではなく、風丸さんの背中を追って…
作品名:レインロード 作家名:青藍