買い物 続き
買い物帰りに雨が降り出し屋根の在る路地裏で雨宿りをしていた二人が怪しい3人組に絡まれ、アキを不覚にも人質にとられたクラトは
幸運にもカヤナとアクトによってその場を助けられた。
が、この事件によりクラトへの信頼度を確実に下げたカヤナ、そしてもう一人襲った連中の片づけを終えてまだルアの上らない明け方帰ってきたアクトはいつもの
冷たい無表情に加えてその姿は血まみれだった....。
「起きろ」
突然腕を引っ張られ無理やりベッドから起き上がる体勢にされたアキは目の前の自分を起こした湯上りといった様子の張本人アクトに目を丸くした。
「ア..アクトさん!びっくりしたぁ...よかった、無事に戻って....」
「当たり前だろ」
「ですよね...だけど帰りが遅かったんで...待ってたんですけどなかなか帰って来ないから...ちょっと心配しちゃいました...」
「.........なんでクラトと出歩いた....?」
いきなり話題が3人組との事件よりもクラトとの買い物について聞かれアキは戸惑いながら答えるがアクトの異様なまでの厳しい目つきに圧倒される。
「なんでって.....その....いろいろ必要なものを買いに、荷物を持つのも手伝っていただいたり.....成り行き上....あの...何かいけませんでしたか...?」
明らかに怒っているアクトに対しアキはだんだん声が小さくなる。そのせいかだんだんアクトが近づいてきているような気がする。気づけば顔が目の前といった距離だ。
「二度とあいつと口を利くな。二度と夜街を一人で歩くな」
反論を許さないアクトの口調だがその言葉にアキはムッとしてかかる。
「何言ってるんですか、クラトさんとは一緒に住んでるんだから毎日会うんですよ。それに私採取もあるし、毎日誰かと一緒だなんて子供じゃないんですから...」
「誰かと一緒じゃない、誰とも、だ。他の男全員だ。クラトと話さなきゃならないならあいつが今日起きるまでに俺が今殺す」
なんて無茶をいうんだろう....というか言っていることが度が過ぎていてついていけない。一瞬理解不能で呆気にとられていたアキはハッとしたように切り替えると
「もう!アクトさんはすぐ殺す殺すって!今日だって無事だったんだし、確かに今後はもう少し気をつけますけど、私はクラトさんともいつも通りにしますし、
これからも親衛隊の皆さんやお客さんとも仲良くします!」
「.............」
意気込んで言ってはみたが、冷徹な目で見下すアクトにやはり次第に縮こまってしまう。
「ふぅん、なるほど。じゃあやっぱりクラトを消すしかないな」
「え!!?そ、それはだめです!!....そだ! な、何か別の条件にしてください!!もっと何か...実現的な...?」
アキの咄嗟にでた言葉にアクトはニヤリとし、いきなり彼女の首に手を回し深く口付けた。
「...っ....ん.....」
呼吸をする間もなくアクトは深く深く求めた。アキが逃げようとしても腰に手を回され身動きがとれずアクトの熱い口付けは続いた。
「.......ん......っはぁはぁ.....な..何するんですか...いきなり................!!」
「実現的な条件」
「..........え?」
「....俺の女になれよ」
あまりに唐突すぎてアキは混乱する。そもそも条件を提示してもいないし承諾もしていない。が、クラトの命が掛かっている上にここで拒否なんかしたら
彼の怒りが爆発して自分の命すら危ない気がしてきた。
どうしよう....どうしよう.....
アクトさんの言う”俺の女”の意味もよく分からないんだけど......
彼女ってこと....でもアクトさんの事だから家来....とか...?
っていうか早く返答しなきゃだんだんアクトさん顔がイライラしてる気が....
「あの.....」
「なんだよ?」
「女って....監視されて、夜道を一緒に歩いたり....たまに.....キスしたり.....ですか.....?」
「まーそんな感じだろ。で、どーすんだよ?」
そんな感じ....あいかわらずてきとう...でも、それなら今まで無理やりされてきたのとあまり変わらない気がする....だったら
「.............分かりました。」
「!.......そっか、だよな....!よし、お前は今日から俺のモンだ!」
急に先ほどまで睨み付けていた表情を一変させ無邪気な子供のようにどこか得意気に笑っている。
アキは思った、アクトはアキの表情を見ていて飽きないというが、アクトの方がよっぽど予測不可能だ、と。
この先大丈夫かな....
不安とともにルアが上る。
To be continued....