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アベショウタ
アベショウタ
novelistID. 25672
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魔法少女たちとの邂逅

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かつて、大きな事件がありました。それは悲しく、辛い記憶でした。十二年前に起きた「PT事件」と「闇の書事件」、そして二年前の「JS事件」。
 私は仲間たちと力をあわせ、これらの事件を何とか解決してきました。そして、既に私、高町なのはとフェイトちゃん、はやてちゃん、スバル達にとって「過去」のものになりつつあったのです。
 しかし……、

 「ジェイル・スカリエッティー。こいつには期待していたんだがな、とんだ茶番だったか。」
 「そんな事を言って、大して期待してなかっただろ。」
 「そうでもないさ。ただ、あいつは時空管理局を、いや高町なのは達を甘く見ていた。それが敗因だった。全く、あれだけ忠告したのにな。」
 「それが、あいつの限界だったということだろ。天才も所詮は『作り物』だったということだ。」
 「なら?」
 「俺達が動くしかないだろ?お前もそのそのつもりだったんだろ?」
 「あぁ、復讐のはじまりだ。」
 「…、そうだな。」
 「やはり、乗り気じゃないか、ハジメ。」
 「復讐しても、アイツは還ってこない。復讐心だけでうごくなよ、カイ。」
 「わかっているさ。だが、俺は正義とか、そういうくだらん言葉では動くつもりはない。」
 「あぁ、わかっている。」
 これが、間違っていると気づいているんだろう?カイ。だが、それでも、やらずにはいられないか。
 「貴様は、いいのかハジメ?迷っているなら、おりてもいいんだぞ。」
 「いや、自分で言っておきながらだが、俺もこのまま黙っていられるほど、大人ではない。せめて、あいつらだけにでもわからせてやりたい。」
 そう、間違いだとしても、わかっていても、アイツが決して望まないことでも。
 「じゃあ、やろうか!ハジメ!」
 「あぁ、一発きめてやろうか、カイ。」
 これで、もうアイツの墓前に立てんな。

 聖王教会。
 次元世界で最大規模の宗教組織で、管理局と同じく、危険なロストロギアの調査と保守を使命としている宗教団体である。本部はベルカ自治領内にあり、管理局の任務に協力するなど基本的に管理局とは良好な関係にある。また、独自に「教会騎士団」と呼ばれる戦力を保持している。
 そして、聖王教会に所属しているカリム・グラシアスは管理局にも少将として籍を置き、『預言者の著書(プロフェーティン・シュリフテン)』というレアスキルを有している。これは、これは預言のようなもので、『JS事件』もこの能力で事前に預言するなど、それなりの的中率をもつ。
 「これは!?」
 「どうされました?カリム様?」
 「シャッハ、ハラウオン提督に急ぎで連絡を!」
 「ハッ!」
 こんな結果が出るなんて…。

 八神邸
 「ヴィータ、手の置き方、それじゃあ危ないよ。」
 「うぅ~。料理とか苦手なんだよ!」
 子供ほどの背丈の彼女は、眉間にシワを寄せ、ブツブツと言いながら、あきらかに危ない手付きで包丁を、トン、トンと音を鳴らしながら、野菜を切っている。
 そして、それを不安げな表情で見つめている艶やかな長い金色の髪の若い乙女はそわそわしていた。
 しかし、そんな彼女の隣で同じく見つめていた、栗色のロングヘアーの乙女は楽しそうに、そして嬉しそうに見つめていた。
 「なに、笑ってるんだよ!なのは!」
 「ごめんね、ヴィータちゃん。あまりに可愛かったから、つい。」
 「つい、じゃねぇ!こっちは必死なんだよ!」
 「そうだよ、なのは。」
 「そうだね。今日は、はやてちゃんの誕生日だからね。」
 「そうだよ!だから、恥を承知で料理を教えてくれって、頼んだんじゃないか!」
 そこに、少し離れたところで大きな青い色をした犬のような生き物が、隣のソファーに座っている金髪ショートの女性に諦め半分で呟いた。
 「もう、毒味はごめんだ。」
 「ふふ、そうね。」
 その女性も楽しそうに微笑んだ。
 「こんなことしてる場合じゃないだろ!はやてが帰ってくる前に料理を完成させなくちゃ、いけないんだから!」
 「そうだね。それじゃあ、ヴィータ、がんばろうか。」
 「あぁ!」
 そして、また危ない手つきで、トン、トンと音を鳴らしながら、次は肉を切り始めた。
 不意に視界に入った時計を見た、フェイトはポツリとつぶやいた。
 「それにしても、はやてとシグナム遅いな。」

 時空管理局本局
 時空管理局。ミッドチルダが中心となって設立した数多に存在する次元世界を管理・維持するための機関であり、『管理局』とも呼ばれる。警察と裁判所が一緒になった様なところで、ほかにも文化管理や災害の防止・救助もおもな任務としている。次元航行艦船や武装部隊などの単なる警察では無いほどに強力な戦力を有している。ミッドチルダにおける、事実上の国軍としての面もある。
 管理局の職員は必ずしも全員が魔導師であるというわけではなく、魔法をもちいない部署も数多く存在している。
次元世界から質量兵器の根絶とロストロギアの規制を働きかけてきた組織。
 各次元世界の管理をしている。地上本部がミッドチルダに存在している。
 「八神はやて二佐、入ります。」
 電子音と共に自動でドアが開き、茶髪のショートヘアーの女性が部屋へと入った。イントネーションから関西弁が少しうかがえる。そして、その部屋には一人の青年とデスクの上にある画面にはカリムという緑色の髪の女性がいた。
 「悪いな、急ぎできてもらって。」
 「いえ、それで提督どうされたんですか?」
 「あぁ、カリム少将、お願いします。」
 二人の神妙な顔つきから、事の重大さがうかがえた。
 「はやて、久しぶりね。」
 「お久しぶりです。カリム。あなたがいるということは…。」
 「そうね、視たくないものが視えてしまったの。」
 「一体、どのような内容なんですか?」
 「大きな闇。深く、悲しい、大きな闇。」
 「それは!」
 「……。」
 青年は目を瞑って、俯きかげんで黙って聞いていた。
 「そして、それは全ての世界を覆う。だけど、その中に二つの光る星がある。」
 「それは?」
 「今はわかりません。しかし、このような結果が出てしまった今、このままにしておくわけにはいかないでしょ?」
 「はい。」
 「あぁ、そして、そのためにはやて、君を呼んだ。」
 「というと?」
 「機動六課の再編だ。隊員の構成はお前に任すよ。」
 「そういうことよ。お願いね、はやて。」
 機動六課の再編。
 そもそも、機動六課は『JS事件』の際に様々な裏技を使って編成された部隊だ。これが、再びつくられるということは、かつての事件に匹敵することが起きるということだ。
 「わかりました。それでは、なのは達に声をかけます。」
 「あぁ、あとナンバーズにも声をかけてやれ。」
 「!わかりました。それでは、失礼します。」
 「あっ、そうだ。はやて!」
 「はい?」
 「誕生日、おめでとう。」
 「ありがとう。」

 最低な、誕生日になりそうだ。
 「みんな、なんていうかな…。」