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謎野うさぎ
謎野うさぎ
novelistID. 25775
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習作1

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 バーナビーはぱちりと目を開けた。
 けだるい全身がゆるやかに覚醒し、眼鏡もコンタクトもつけていない目が徐々に焦点を結ぶ。遠目にぼやけて見えるくすんだ色の天井、全身で感じる知らない肌触りのシーツ。
 ここはどこなのだろうか。自分の部屋ではありえない違和感を感じていると、がさ、と隣で何か動いた。
(!!?)
 がばっと上半身を起こすと、脳天がずきりと痛む。昨晩の深酒の名残だろうが、とりあえずそれは重要ではない。
 ぐぎぎ、と曲がりたがらない首を無理やり左下に向ける。
 バーナビー的には大変残念なコトに、ソレはどうみても人だった。肩から下はシーツに隠れているが、自分より少し濃い色をした肌と、どこかとっ散らかった印象の焦げ茶の髪。
 室内は暖かいにもかかわらず、裸の背中が震えた。はっきりとしない輪郭は、嫌でも見慣れてしまったある男に酷似している。
 必要もないのにムリヤリ押し付けられた、相棒。
(そうだ・・・。)
 昨日は会社の付き合いとやらで一緒に飲む羽目になって、周囲から少し飲まされ過ぎて、にもかかわらずうっかり二次会なぞ二人で繰り出してしまって、それから、それから───気付いたら、このザマだ!
「一生の、不覚だ・・・っ!」
「・・・お前、彼女いたことねーだろ。」 
「な、起きて・・・」
 呪詛のような言葉に反応されてぴくりと体を動かすと、やれやれ、といった感じで隣の男が身をひねる。
「どっかのウサギちゃんがガサゴソするから、目が覚めちまったんですー。」
「っ、」
「つーかお前さあ、この状態でそのセリフはねーわ。ハジメテなら仕方ねえけど、女の子相手だったら確実に刺されるから気をつけろよ?」
 偉そうにベラベラと喋られるがままなのは、二日酔いのせいで現状に思考がついていかないからだ。決して男の言うコトが図星だからではない!
 呆然としたまま反論しない自分をどう思ったのか、男はがさごそと起き上がって顔を寄せてきた。黒々とした目が面白そうに丸くなる。
「え、まさかマジで初めてだったのバニーちゃん?」
「・・・僕はバニーではないと、何度言えば分かるんですか。」
「お、戻った。」
 フフンと笑う相手に脱力して、バーナビーはぐったりとうつむき、両手で顔を覆った。
 実際のところ昨夜の記憶は、ない。だがベッドの上で裸の男二人、さらには先程の相手の台詞からも状況はあきらかだ。
 意味が分からない。もう、朝っぱらから途方に暮れるしかなかった。
「どうして、こんなことに・・・。」
「お前、ホンッとに俺の話聞いてねえな。」
「!?」
 くしゃくしゃ、と乱暴に髪を撫でられて肩が跳ねる。
 非難する口調とはうらはらに、その手付きはひどく優しくてここちよかった。
「あーあーもう、バニーちゃんは仕方ないでしゅねー。」
 火照る顔を上げられずにいると、男はなめた台詞を歌うようにのたまい、何故か頭をなで続ける。
 ますます上昇する体温に混乱しながらもバーナビーは目を閉じ、つかの間この柔らかな感覚を堪能しようとヤケッパチで決めた。

作品名:習作1 作家名:謎野うさぎ