君に 愛を 教えたい。
「 僕は・・・ わからない・・・。 ごめん、ね・・・。 」
イヴァンは 悲しそうにそう答えた。
昨日のことだ。
俺はイヴァンが好きだった。昔から好きだったんだ。いつも見せる笑顔も 向日葵が大好きなところも 少し天然なところも 大好きだった。
だから 俺は告白した。 なるべく普通に言いたかったから 体育の時何気なく隣りに座りイヴァンを見ないで言った。
「 俺 イヴァンが好きなんだ。 」
それに返ってきた言葉があれだった。
「 僕は・・・ わからない・・・。 ごめん、ね・・・。 」
ふられたわけでもない。 でも成功したとは思えない。
イヴァンは とても悲しそうな顔をしていた。なんだか無表情に近いような、そんな顔。 イヴァンはそれに自分で気づいたのか、すぐに笑顔になり
「僕、ボール取ってくるね?」
と言ってみんなの中に入っていった。
「イヴァン・・・。」
俺は、なぜイヴァンがあんな顔をしたか知っている。知っていて言ったんだ。
イヴァンの家は昔 大きな屋敷だった。親に姉妹、メイドに執事 どんな関係かは知らないが男も何人かいた。幸せそうな家族“だった”。
そんなイヴァンの幸せは急に砕け散った。親の喧嘩、妹からの求婚 姉の独立。いろいろなトラブルが重なり、イヴァンは一人になってしまった。でも、イヴァンは笑顔だった。周りから気味悪がられもしたし恐れられてもいた。
でも俺は知ってた イヴァンは泣きたいのだと。誰よりも辛いのだと。でも 俺には何もできなかった。
そうして月日は経ち、ずっと離れ離れだったイヴァンに高校で会うことができた。
その時には もうイヴァンは愛に臆病になっていた。愛を拒んでいた。
もうあんな気持ちになりたくないから 自分から愛を避け、必要最低限の関係ばかり求めていた。
いつも笑顔を仮面にして・・・
つづく・・・・
作品名:君に 愛を 教えたい。 作家名:露梅雨