滲む視界
なんか体がだるい。
「―――あ、起きた?」
淡いブルーのカーテンがついた窓辺に寄りかかる、いつもの笑顔を浮かべる不二がいた。
(また勝手に上がり込んでるし…)
俺が黙っていると、心情をよみとったのか、
もう僕の家も同然だよ、と訳の分からん事を言いながら不二がベットサイドに腰をおろした。今更ながら、合鍵なんて渡すもんじゃないと思う。これじゃすっかり居候だ、不二の服、大学のもの、趣味のサボテン・写真、下着まで置きやがって。
「…はらへった、だるい」
しわがれた情けない声が出た、それに不二の眉間に皺が寄せられる。
熱ある?と俺の首に不二の白い手がまわる。自然と整った顔も近くにくるわけで。
いつも思う、不二は簡単に俺に触れてくる。
「愛してるよ。」
「そうゆうことは平常心の時に言ってよ。」
ふいに出た言葉を不二は本気にしてくれない。
「んー、ちょっと微妙…体温計取ってくるね。」
風邪かなぁ、とボヤきながら不二がベットから降りた。
「いくなよ、」
え、なに?
不二が振り返った。
呼び止めてもとくに用は無いから、何でもないと不二を行かせた。
多分ちょっと今変な感傷に浸ってたんだ、と苦笑。
アイボリーの天井を無感動に見つめると どうしようもなく視界が滲んだ。
-END-