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両片思い

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私ばっかり好きでずるい、と唐突に千尋が言った。

びっくりしすぎて二の句が継げなかった。
「は?」くらい言えたら良かったんだけど本当に声が出なかった。

絶句している僕を幸い気にも留めなかったらしい千尋は、耳まで真っ赤になってうつむいている。

ていうか私ばっかりってなんだ。
僕が千尋のことを千尋より好きじゃないとでも言いたいのか。

はっきりいって僕は自分でもどうなんだと思うくらい千尋のことが好きで、
千尋がいなかったら真実生きていけないと思うほどで、
それを隠し切れている自信は正直言ってまったくない。

なのに千尋は僕より自分の方が僕のことを好きだという。

だって、これ以上どうしたらいいんだ。
こんな風に、周りに誰もいない場所で、千尋が隣で笑ってて、
それがあまりに可愛くて、言葉にならなかったから口づけたのに、
こんな精一杯の「好き」を伝えた直後に、そんなこと言われたって困るんだ。

千尋はまだうつむいている。
とりあえず今の顔を見られなくて本当に良かった。
こんなカケラも取り繕えてない顔なんて、見られたら本当に生きていけない。
作品名:両片思い 作家名:halya