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ラボ@ゆっくりのんびり
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君の夢を見た

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 夢を見た。
 何百年経っても褪せない夢だ。忘れたいと強く願ったところで決して消えてくれなどしない。むしろイギリスがそう強く願うたびに、そんな彼を嘲笑うかのようにその夢は浅い眠りも深い眠りも関係なしにイギリスを蝕みにやってくるのだ。
 夢の中のイギリスはひどく幸せそうに笑っている。隣に居る小さな存在がゆっくりと大きくなっていく過程を一番近くで眺めながら、触れることは出来ないが確実にそこに存在している幸せを噛み締めているのだ。
 しかし毎度その夢はイギリスを天国へ導いた直後に地獄へ落とす。
 触れようと手を伸ばした瞬間、霧散するように彼の姿が掻き消えてしまうのだ。どうにか彼をその場に留まらせようとするイギリスを、消えてゆく彼は冷たい視線で見下ろす。さようならと小さな、けれど確かな声色で呟いてイギリスに絶望を味わわせる。しかし夢はイギリスを絶望の淵に陥れただけでは飽き足らず、絶望の波に飲み込まれて意識すら危うくなったイギリスを、冷たい雨粒で現実へ引き戻すのだ。そして気付けばイギリスはマスケットの小さな銃口を見つめながら、致命傷の一つも負っていないその身体が発する痛みを感じる。夢でないのかもしれないと思うくらいの現実感を伴って。


「あめり、か……」


 とうとう夢か現か分からなくなったとき、助けを求めるように呟く声でいつも目が覚める。暗い部屋はかつて共に暮らした、今では遠いあの部屋ではない。
 べたつく汗がパジャマを濡らしている。気持ちが悪くなってイギリスはそれを脱ぎ捨てた。
 ちくたくと規則的に時間を刻んでいく時計は平素と変わらぬままイギリスを見下ろしていた。短針は既に4を少し通り越している。けれどまだ日は昇っていない。
 その隣にかかったカレンダーを見て、ああもう七月になったのかとイギリスはぼうっと思った。
 起きるにはまだ早い。そう思ってイギリスは頭までベッドに潜り込んだ。早朝といえど気温はそれなりに高く、頭まで潜ったイギリスはすぐに息苦しくなったが、それでも顔を出そうとはしなかった。目を開けた先の現実を見たくなかったからだ。何百年経ったとて、夢がイギリスを手放してくれない限りあの日の出来事は過去となってくれない。あの時味わった絶望も孤独の痛みも忘れることすら許されないのだ。
 浅い眠りに淡く揺られ、あの日無邪気に笑っていた姿が何度も繰り返し頭の中で再生される。
 かつて両手に溢れていた安息を、今はこうして思い出すしか出来ない。その所為で感覚だけが何度も何度も木霊していった。
 側に居た夢を見た。もうここにはいない君の夢を見た。