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轍 きょうこ
轍 きょうこ
novelistID. 1480
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馬鹿が煙に巻かれて笑う

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多少の問題は残ったが、当初の目的はあらかた片づいた。
それもあってか高度ウン百メートルからパラシュートで、それも爆風を受けながら降下中という状況で銀時と桂は妙にのんびりとした空気に包まれていた。
懐かしい顔を拝んだせいもあるかもしれない。もっとも随分と様子は違っていたが。
「なあヅラ」
「ヅラじゃない。桂だ。なんだ」
「なんであいつときたら、仲間がいて、やりたいことやってるはずなのに、こんな青空の下であんな風に笑いやがるんだろうなあ」
「そんなもの。決まっているだろう」
桂が肩をすくめる。銀時は頭をかいた。
「手間のかかる奴だなァ、おい」
「ああ、仕方のない奴だ」
「次なんて悠長なこと言わずに今いっとくべきだったか」
今更後悔しても遅いが。
高杉を乗せた船は高度を上げ、いまや指で摘めそうなほど小さくなっている。
「止めておけ。傷に障る」
「別に、かすり傷だろこの程度」
気負いなく銀時は言った。
「それでも、だ。止めておいてやれ」
「?」
桂は何時の間にやら近づいた地上に目を向けていた。
銀時も船から目を離し、桂に倣って下を見る。
そこで、子供たちが銀時を待っていた。
「あいつだっていい大人だ。多少放っておいたところで問題ない」
地表はもう目と鼻の先だ。銀時は心のままに桂の腰から手を離した。最後の最後で無駄な無茶をした銀時に、新八は顔面蒼白にして、逆に神楽は怒気に顔を赤くして駆け寄ってくる。それを面はゆく思いながら銀時は子供たちを腕の中に捕まえた。
煙とバカは高いところに昇りたがるとはよく言ったものだ。
あいつも、さっさとここまで降りてくればいいものを。
素直でないあいつは、それこそ無理矢理引きずり落としでもしない限り気づかないんだろう。
あの人を奪ったのがこの世界なら、あの人を与えてくれたのもこの世界だということに。
本当に手間の掛かる奴。