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ナイトメア・ドリーム

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気が付くと僕はここにいた。
どこを見ても境目のない、上も下もわからないような真っ白な空間。音一つなく、耳が痛くなるほど静寂で満たされたそこに、僕はぽつんと立っていた。
触り心地のよい白いワンピースの裾が風も吹いていないのに何故か揺れている。
こんなワンピースを持ってたかな?ああ、夢か。それなら何があっても不思議なことがあってもおかしくないか。
そうして僕はこれが夢であると認識した。夢を夢だと知りながら見続けているのは、何だか変な気分だった。

「ようこそ、竜ヶ峰帝人」

聞こえた声に振り向くと、よく見知った顔がそこにあった。
いつものようにファー付きコートを身に纏っている。ただ、いつもの格好とは少し違っていた。スラックスとインナーのシャツは黒で統一されていたが、シャツの首回りが赤く縁取られており、同じくコートのファーが白ではなく、血のように赤かった。
見慣れない彼の姿に不思議に思いながら、小さく呼び掛けてみる。
「臨也さん……ですよね?」
すると彼は目を細め、楽しそうに笑みを浮かべながら僕に近づいてきた。
「残念。半分正解だけど、不正解。俺はあいつだけど、あいつじゃない」
意図がわからない彼の言葉に、疑問符を浮かべる僕の目の前に来た彼は、スッと手を伸ばし、僕の頬に触れた。
「やっと会えた……」
優しく指先で顔のラインをなぞるように触れるその手付きは、前に臨也さんが僕にしたものと同じだった。僕を見下ろしながら微笑む顔も、臨也さんに瓜二つ。
だけど、彼の瞳は臨也さんより赤く――暗い色を見せていた。
ゾクリと、背筋が震えるのを感じた。
「あなたは、誰ですか」
臨也さんではない。じゃあ彼は一体誰なのか。

「……残念、時間切れだ」

僕の問いには答えず、彼は小さく呟くと名残惜しげに僕の頬を一撫でし、数歩分距離をとり後ろに下がった。

「今度会ったときに、俺の名前を教えるよ」

またね、と彼は微笑んだ。









「帝人ちゃん?」

目を開くと、首をかしげ僕を見下ろす臨也さんの顔が見えた。
眠っていたのか、とまだ霞がかった頭を起動させようとしていたら、臨也さんの手が僕の頭に添えられた。
「もうお昼だよ」
「……臨也、さん?」
「ん?」
寝惚けてるの、と優しく撫でる手の感触を受け入れる。その手付きを何処かでも受けた気がして、僕は再び瞳を閉じる。
「夢を……見たんです」
「夢?どんな?」
「覚えてません」
「何それ」
「優しい……でも怖い夢、だった気がします」
夢を思い出そうとすると、心がざわめき、何だか心細くなった。堪らず頭を撫でていた彼の手を掴み、ぎゅっと両手で握りしめる。
珍しい僕の行動に臨也さんは一瞬瞠目したが、すぐに目を細め、くすっと笑みを浮かべた。
「甘えてくる恋人の要望は答えないとね」
「そんなつもりじゃありません」
「いいからいいから」
ギシッと音をたててベッドが軋む。僕の隣に体を寝転ばせた臨也さんは、そのまま僕の身体を引き寄せる。
今日はこのままお昼寝だね、と臨也さんはおでこに軽く唇を落とし、僕の身体を抱き込んだ。
今まで寝ていたのだからそんなに眠くはなかったけど、密着した臨也さんの身体から感じるぬくもりが心地好くて、僕は大人しく彼の胸に顔を寄せ、目を閉じた。

おやすみ、と臨也さんの声が聞こえた。




【ナイトメア・ドリーム】






また会えるね、と誰かの声が聞こえた
作品名:ナイトメア・ドリーム 作家名:セイカ