ある日の堂島家
声の響きから感動したように感想を述べる足立の声が聞こえた。
続いて、菜々子の声で「お兄ちゃんの作ったものみんなおいしいんだよ」と。
「へぇ。あっ、堂島さんお帰りなさい」
「お父さんお帰りなさい」
「お帰りなさい」
笑顔の菜々子と四葉に「ただいま」と返し、足立には「お前、なんでここにいるんだ」と問いかける。
確かに先に上がっていいとは言ったが、まさか家に上がりこんでいるとは思いもしなかった。
「あーそれはですね。偶然四葉くんに会って…」
足立の言葉を引継ぎ四葉が言う。
「足立さんに荷物持ってもらったから、夕食どうですかって誘ったんだ」
「…そうだったのか。」
それにしても、と足立が言葉を続ける。
「いやー四葉くん良いお嫁さんになれるねぇ。寧ろ欲しいぐらい」
……今、コイツは何と言った?
嫁?
欲しい?
無意識のうちに足立を睨みつけていたようで、焦ったように言葉を繋げる。
「い、いやだなぁ…冗談ですよ、ジョーダン」
アハハと軽く笑う足立に近づいて、四葉と菜々子に聞こえないように「食べたらさっさと帰れよ」と心持ち低めの声で言う。
「…ハイ」
肯定の返事を返した足立に満足した俺はソファに座り、その身を預けた。