デュララに2chがあったら(静臨編)
95 苛 投稿日:2006/08/06(日) 23:20:19 ID:Iza8/Ori8La
ねえ、君と喧嘩するときはいつも池袋だね。
一番最初、君と喧嘩したときからそうだったよね。
俺がサボり魔で、君がチンピラに絡まれまくってた不良だったとき、
喧嘩したのが池袋だったね。
「最初に言っておく。俺は暴力が嫌いだ。でも手前はもっと嫌いだ」
君はそういってぶち切れてたっけ。
俺たちが高校出てフリーターだったとき、
君は何のバイトをしてもすぐクビになっていたよね。
「手前のおかげで、顔見せただけで断られる」
「暴力は嫌いだって言ってんだろうが!俺に暴力を使わせやがって!」
「思いっきり殴らせろ。死ね、いや殺す」
そういうことを関節をバキバキ鳴らせながら語っていたのも、池袋だったね。
あれから5年たって今、こうして、たまに君と喧嘩するときもやっぱり池袋だ。
ここ何年か、こういうナイフを使って脅すのは君と喧嘩するときだけだ。
別にナイフが悪いってわけじゃないけど、こんなオモチャじゃ君は殺せない。
大した怪我はしない、お決まりの喧嘩なんて、ただのじゃれ合いのような気がしてならない。
ねえ、別に大砲持ってきて戦争しようってわけじゃないんだ。
もう少し本気を出せば、こんな殴り合いでなくて、本当に相手を殺せるような手段を
いくらでも選べるはずの人間だろう、俺たちは?
でも、いつもの君を見ると、
君が馬鹿みたいな嗅覚で俺を見つけて追いかけてくるのを見ると、
俺はどうしても「もう終わりにしよう」って言えなくなるんだ。
君が性懲りもなくまたバイトをはじめたの聞いたよ。君が暴力嫌いなのも知ってるよ。
新しいカラーギャングができた池袋で、一癖も二癖もある、外見は普通の後輩たちの中に混じって、基地外じみた化け物扱いされて、それでも必死に卑屈になって自分を抑えようとしてるのもわかってる。
だけど、もういいだろ。
5年前と同じ池袋で、5年前と同じ、実際にはできもしない上辺だけの口上を語らないでくれ。
そんなものは、そこらへんの街中でいがみ合ってるガキどもだけに許される馴れ合いなんだよ。
作品名:デュララに2chがあったら(静臨編) 作家名:あおい